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客席放浪記

三田落語会 大感謝祭 昼の部

2018年6月9日
浜離宮朝日ホール

 開口一番前座さんは、金原亭乃ゝ香『たらちね』。乃ゝ香に「あ〜らわが君」なんて言われると、ときめいてしまうではないか。美人は得だね〜。

 『三田落語会』が終わるということで開かれたこの特別興行だったが、なんとやっぱりまた10月から再開することになったという。「こういうやり方もあるんですね〜」と茶化しまくっている桃月庵白酒だが、トリの権太楼が大手町の会があって、こちらの会場に着くのがギリギリらしい。「主催者から『長くやってください』。たっぷりではなく、『長くやってください』と言われているので」と、マクラを20分。
 そこから『抜け雀』。こういう落語会というのは落語好きのマニアが多い。ほとんどの落語のネタなど何回も聴いている人が多いから、噺にその演者なりのなんらかの工夫がないと笑いは来ない。白酒は宿屋の主にだいぶ手を加えて新鮮さを出していた。ちょこまかと落ち突かない性格で流されやすいというか、あまり誰にも相手にされていない感じ。立ち去ろうとする一文無しの絵師に、自分と女房との馴れ初めを聴いてもらおうとして無視されてしまう。
 得意の言葉遊びも、「絵師だ」「S? 責め上手?」 「狩野派の絵師だ」「官能派?」。そんな絵を描かれちゃたまらない。

 瀧川鯉昇。「アメリカの沼地を埋め立てたあとに、よくアメリカンフットボールのグラウンドを作ることがあるそうで、選手たちがグラウンドを走り回って地面が固まる。アメフッて地固まる」。
 噺は『明烏』。長くやってくれということで、途中で噺を止めて、普段はやらないらしい、和服の右褄と左褄の解説。いや〜勉強になった。エロチックな意味でも。ハハハハ。

 入船亭扇辰は、楽屋がわからずにホール正面から入ってしまい、ホールの人に楽屋の場所を訊いたらぞんざいな扱いを受けたという話がマクラ。「あいつら使用人じゃないか」。というわけで田舎者の使用人が巻き起こすドタバタの『百川』

 柳家権太楼は大手町から無事に到着。「夜の部は誰が出るの?」とお客さんに訊いている。「さん喬さんに三三? ふたりとも大手町にいるよ」。
 最近、読売新聞社から出た自分の本の宣伝。「この会場では売れないので本屋さんで買って」。アハハハハ、ここは朝日新聞社のホールだもんね。
 私は『天狗裁き』という噺はあまり好きじゃない。面白い噺だとは思うのだけど、一度聴いてしまうとそれだけの噺で、何回も聴いているとまだるっこしくて飽きてしまう。権太楼の『天狗裁き』は面白かった。出てくる人がみんなそれぞれちょっと変わった人物ということもあるが、隣家の男が「寝言で『おはるさん』と言った」と作り話を加えてしまうと、あとの大家や役人がこれら加えて「おそのさん」、「おふゆさん」と加えて行ってしまう。最後は「えり」も加わり、オチが「えりちゃーん!」。楽屋は大受けだろう。

6月10日記

静かなお喋り 6月9日

静かなお喋り

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