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客席放浪記

第二十一回宮治展

2015年3月14日
西荻窪・カフェギャラリーK

 開口一番は天狗連の、琉亭楽輝。いつもは客席から宮治が出てくると「戸越銀座!」と声をかけるという名物おじさん。なんでも六代目蝶花楼馬楽の弟子だったこともあるそうで、下地はあるんだね。落語家修業を投げ出して社会で生活するようになって、今は40年ぶりに落語に目覚め、また天狗連で活躍されているそうだ。さすがに達者な『一目上がり』

 桂宮治が面白いなと思い始めたのは四年ほど前から。そのうちに、あれよあれよといううちに人気が出てきて、今はかなりお客さんが付いている。ほかの人の落語会にも引っ張りだこで、よく観る機会があるし、定席や深夜寄席でも目にしている。しかし、この人の会に来るのは初めて。高座に上がっていきなり毒舌が爆発。白酒の毒舌は、その対象をからかうような、どこか子供っぽいところがあるのに対して、宮治の場合はまさに爆発。面白がってドッカンドッカン破裂させているようなところがある。これが豪快で楽しくもある。ただ、あんまりヤンチャが過ぎるとどうかなぁ。ちょっと心配になってくる。一席目はネタおろしの『あくび指南』。これももう大爆発してる。『臨終のあくび』『一番風呂のあくび』のバカバカしさは、突き抜けちゃってる。あくびを習いに来た男はもともと弾けた男なのだが、宮治にかかるともう大爆発を起こしている男になってしまう。可笑しい可笑しい。

 ゲストは柳家花ん謝。故郷の松山で頼まれて落語教室の仕事をしたというマクラが、やけに可笑しかった。落語会のしきたりを知らないで落語をやってみようと思う人って、とんでもない発想をもっているものだな。噺は『竹の水仙』。小田原宿と始めたので『抜け雀』かと思ったが『竹の水仙』だった。『竹の水仙』は藤沢宿だと思うのだが、小田原宿でやる型もあるのだろうか?

 仲入り後の桂宮治二席目は季節のネタということで始まったのが『百年目』。こんな大きなネタをもうすでに持っているのか。楽屋の前座仕事で一番大変なのは、高座返しから楽屋の下足番、お茶などを担当する一番下っ端。その一番下っ端がしくじった場合、本人は直接謝りに行ってはならない。一旦一番上の立て前座に報告に行き、立て前座がしくじった者を連れて謝りに行き、しくじった者は黙って頭を下げていなければならないという楽屋のしきたりをマクラにして噺に入った。この流れがうまい。ここでも番頭さん、爆発してしまっている。最初の小言の部分もほかの人のより長い気がするし、陸に上がって扇子で目隠しをしてはしゃぎまわる様は凄い。こんな豪快なこの噺の番頭は初めて。

 カフェギャラリーKは、3〜40人定員くらいだろうか? 満席。宮治テンという洒落で10回で終了の予定だったらしいが、ついに第三シーズン突入。入場料1200円。うらやましいくらいにいい落語会だった。

3月15日記

静かなお喋り 3月14日

静かなお喋り

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