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客席放浪記

第二回玉川奈々福 喬太郎アニさんをうならせたい

2017年6月30日
紀尾井小ホール

 柳家喬太郎をゲストに、玉川奈々福が新作浪曲を作ってきて、喬太郎に聴かせようという会。

 まずはその新作浪曲。美人だが今まで一度も笑ったことがないという女性が、オタクと呼ばれる男性と結婚する。その相手とはウルトラマンオタクの落語家柳家キョン太郎。一度も笑わない妻を笑わせようと古典落語、新作落語といろいろ妻の前で演ってみせるが、何をやっても笑わない。そしてキョン太郎が最後に演ったのは人情噺『ハワイの雪』。すると妻は突然笑いだす。感情を出す回路が狂っている人間だったという噺。
 演題は『池袋の鬼夫婦 ウルトラ風味』だそうだ
 奈々福、かなりの喬太郎ファンでもあるんだなと感じさせる一席。

 今日のテーマは「女」だそうで、喬太郎はマクラもなしで『牡丹灯籠 お札はがし』。華やかな陽のイメージの浪曲に対して、こちらはみっちりと陰。小泉八雲好きの喬太郎、この手の怪談も得意。キョン太郎の奥さん、こんな噺聴いたらどういう反応をしただろうか?

 奈々福の方は『清水次郎長 お民の度胸』
 都鳥一家に斬られて逃げ込んできた石松をかくまった七五朗。そこに乗り込んできた一家だが、石松は昨日は来たが今日は来ていないと突っ張る七五朗に女房のお民が惚れ直す。
 お民は気丈というより、かなり現代的なカワイイ女になっている。そこが奈々福らしいというか。

 奈々福はこの会を、喬太郎との二人会だと認識しているようで、一方喬太郎としては、これはあくまで奈々福の会で自分はゲストだからと、ふたりの認識が違っているのがわかった。おそらくこれも奈々福が喬太郎と一緒に会ができるといううれしさから、そう思っているのだろう。奈々福の新作に対しても、さすがに喬太郎は照れたらしくて、次回は喬太郎、ウルトラから離れて、こごだけのかけ捨てではない、他所でもできる噺を作って欲しいと結んでいた。

7月1日記

静かなお喋り 6月30日

静かなお喋り

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