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客席放浪記

旅成金 壮行会in人形町

2018年1月30日
日本橋社会教育会館

 二日後から、11ヶ所の地方興行に出る三人の会。

 柳亭小痴楽は10月にネタおろしして、もう60回ほど高座にかけたという『あくび指南』。ちょっと全体にセカセカした印象。あくびを教わる方の人物はそれでいいが、指南役の先生の方の真面目くさった感じがもっと強調された方がバランスがよくて可笑しくなると思うのだが。最後の方であくびが出てこなくて泣き出してしまうところは面白かった。

 神田松之丞『天保水滸伝 笹川の花会』。『天保水滸伝』はほとんど愛山に教わったものだそうだが、『笹川の花会』だけは、師匠の松鯉から教わったそうだ。
 松之丞では、一昨年『ひとり天保水滸伝』という連続読みで聴いて以来。飯岡助五郎の名代として、笹川繁蔵の花会に出向いた洲崎政吉が繁蔵の懐の深さに驚く噺。これから抗争が始まる前の部分だが、独立して聴けるいい噺だ。

 瀧川鯉八は、つい先日『渋谷らくご』でも聴いた『多数決』。多数決が必ずしも正しい評決方法ではないこと、話し合いの最中にどんどん論点がズレていって、そのことに当事者は築いていないことがある、といったテーマを笑いの形で提示した、これは傑作だと思っている。

 仲入り後は、今回の地方興行のあらましを3人でトーク。九州をふりだしに北上しながら群馬まで、11ヶ所の公演。すでに売り切れになったところから、まだキャパの一割程度しか売れてないところまであるという。
 そんなこれからの予定を面白おかしく話してくれた。サービスのつもりで冗談まじりなのだろうが、地方で呼んでくれた主催者を茶化す言動がいくつか聞かれたのが残念だった。赤字承知で会を開いてくださる主催者も多いのだから、あまりそういうことは口にしないでもらいたい。赤字でも約束のギャラは払ってくれるんでしょ? そんな主催者に笹川繁蔵を感じないかな〜。
 かつて赤字でも落語会をやっていた私としては、あまりいい気持がしなかったことは書いておく。三人ともいい芸人さんだと思うし、芸人は何を言ってもいいと思うが、少なくとも仕事をくださる相手への礼節だけは守って欲しい。゛

1月31日記

静かなお喋り 1月30日

静かなお喋り

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