昭和アチャラカ時代 2013年10月25日 雷5656会館 浅草にんげん座公演。めおと楽団ジキジキが出演するからとのカオルコさんからのメールが来なければ、まったく気が付かずにいた。チケットぴあなどは使わず、まったくの手売りらしい。 時代は戦争中、浅草のレビュー小屋フォーリー座。座長の津島明美(東の宮美智子)の挨拶を状況説明にして、座付のディキシーランド・ジャズ・バンド(小出芳明とディキシーショーケース)の演奏で幕が開く。 まずはレビュー・ショー。高峰秀子ならぬ高峰日出子(カオルコ)、暁カレン(グレース美香)の歌。カオルコさんの歌唱力は以前から凄いと思っていたが、グレース美香という人の歌は初めて聴いた。この人も実に上手い。それにマジック・ショウや、茶燐(プッチャリン)のパントマイムなど。プッチャリンは東洋館に出ているチャップリンの真似をする芸人。東洋館では15分ほどの持ち時間だが、ここではサワリだけ。 楽しいレビューを見せておいて、ここから芝居に入る。まずはフォーリー座の楽屋口。ここも改めての状況説明の場だが、楽屋番兼呼び込み係の役で、宮田章司が出ている。寄席で物売りの真似を芸にしている人。もちろんここでもその芸の一端を披露してくれた。雷おこしの呼び声なんて初めて聴いたな。 続いて楽屋。戦争で若い男は徴兵に取られ、敵国の芸能は上演しちゃいけないと警察から言われているとの事で、ダンスは封印。これからは代わりに日本舞踊をやろうと、日舞のお師匠さん(チャン・チン・ホイ)がやってくる。このチャン・チン・ホイという人、もちろん日本人でこれは芸名なのだが、京劇役者でもあり、日舞も名取なんだそうだ。その名取のチャン・チン・ホイの教える日舞が、なんともインチキ臭いのが笑える。 次は警察の取調室。座付作者や劇団員が取り調べを受ける場面。ここは三谷幸喜の『笑の大学』を髣髴とさせる。取り調べる刑事がジキジキのきよし。おそらく役者経験はそれほど無いと思うが、声の通りがいいのにびっくり。やっぱり歌をやっている人は発声が違う。そしてその上司の警部役が、ウルトラマン役者アマギ隊員の古谷敏! いやぁ、カッコイイわぁ。 休憩が入って、日替わりのトークショー。今日のゲストが永六輔。聞き手は世志凡太。 永六輔は開口一番、「今日は小沢昭一の一周忌です」と言う。あとからWikipediaを見てみるとと、小沢昭一は去年の12月10日に亡くなっていることになっている。少し早めに法要を今日行うのかな? もう亡くなってから一年が経とうとしているのか。 さらに「3.11と言いますが、東京大空襲も3月11日ですよ」と言う。上げ足を取るわけではないが、Wikipediaによると3月10日。 空襲で東京は焼け野原。上野で焼け跡から金目のものを掘り起こして売り払って商売にしていた田所という男がいた。警察に捕まって、警察から面白い奴だから役者にでもなれと言われる。浅草のストリップ小屋に行った、この田所と言う男こそ渥美清。そこでホンを書いていたのが井上ひさし。こういう話は面白い。 このあとは、劇中劇『最後の伝令』。エノケンの代表作だそうだが、いわゆるコント。それも、どことなく無声映画のような演技に声を付けたようなコント。おそらくそれが狙いのコントなのだろう。このパターンはのちに『シャボン玉ホリデー』のコントにも引き継がれていくタイプのもので、面白いと言えば面白いが、今となっては、やや古いタイプのコントといった感じ。 最後はまたレビュー・ショー。『ザッツ・ア・プレンティ』『A列車で行こう』『センチメンタル・ジャーニー』などをバックに、歌い踊る。 そして芝居も大団円へ。 レビューが楽しめて、コントの名作が観られて、永六輔の話が聴けて、盛りだくさんで楽しい芝居だった。 10月26日記 静かなお喋り 10月25日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |