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客席放浪記

うわの空藤志郎一座・おたわむれの会8

2014年3月21日
新宿末廣亭

 末廣亭って、夜の部興行が終ったあとなら貸席をしてくれるのかなぁ。誰にでも貸すってわけじゃないだろうけど、一度でいいからこの高座で落語を演ってみたいと思っている人、多いだろう。何しろ昭和の名人上手がズラリと上がった高座なんだもの。

 このたび、うわの空藤志郎一座の演芸会も、新宿末廣亭で行われることになった。もちろん深夜寄席をやっている、21時30分からの時間帯。休前日なら、こんな時間帯でもお客さんって集まるものだ。

 しゃれおつおにぎりの漫才。一座の中でも役者ではなくスタッフのコンビによる出し物。『桃太郎』の物語に音響効果を付けたらというネタ。ネタも良く出来ているし、コンビの息も合っている。裏方さんとは思えない。この人たち、十分に役者としてもやれそうじゃないの?

 水科孝之のフリップネタ。フリップに書いてあるなぞなぞの答が、トンデモってパターンがずーっと続く。「いつも新聞の上に乗っている動物は」→「う〜ん、これはわかるね。キジだね」→「猫」。ウハハハハハ。猫ってなぜか新聞の上に乗っちゃうんだよね。

 島優子・藤田翔子のコント。20年前の自分と20年後の自分が鉢合わせする。岡田准一が出ている日本生命のCMを思い出した。20代、30代、40代、50代の自分が出てくるやつ。あれを二人にして、自分の将来にがっかりしたり。自分の未来は知りたいけど、知りたくなかったりっていう気持ちもある。このシチュエーションってコントに向いてるかも。

 歯ならび兄弟の漫才。ファーストフードのハンバーガー屋さんが野球用語を使うというネタ。

 ゲストという形で小宮孝泰の落語。末廣亭の高座に上がるのは、ドラマ『相棒』のロケも含めて四回目だとか。この人の『元犬』は、落語家さんの演る『元犬』とはちょっと違う。人間に変身する場面は、CGを使った映画みたいにリアル。それに犬の習性がよくわかっている人だね。そんな描写をたくさん盛り込んであるもの。

 クララとロッテンマイヤーのコント。落語の『初天神』をコントでやうという試みなのだけど、父親と息子という設定を、車椅子の障害者と介護師という具合に変えている。放送禁止になりそうなネタだなぁ。テレビカメラ入ってたけど(笑)。

 トリは、座長の村木藤志郎。なんと大ネタ『紺屋高尾』! これがいかにも落語家さんとは違った発想になっていて面白い。久蔵の旦那がやけに乱暴だったりという人物造形が新鮮。少々荒削りな落語だが、細かいことは気にしないで、これからも素人だからこそ出来る落語というものを続けて行ってほしいな。

3月22日記

静かなお喋り 3月21日

静かなお喋り

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