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客席放浪記

この素晴らしき世界(ペテカン)

2015年10月9日
あうるすぽっと

 劇団ペテカンの20周年公演。客演のひとりに柳家喬太郎が入っているので観に行った。

 結婚披露宴。その最中に新婦の母親が会場で倒れ、救急車で運ばれてしまう。それでも披露宴は続けてほしいという母親の言葉から、披露宴は続けられることになるのだが、親族はみんな控室に籠ってしまうし、新郎、新婦も会場と控室を行ったり来たり。やがて親族同士の言い争いが始まってしまう。新婦には二組の兄夫婦がいる。この結婚式当日は、父親の一周忌だということで、なにもそんな日に結婚式をあげなくてもいいだろうという不満が渦巻いていたところに、この事件。しかも新婦はどうしても式を続行させるつもりでいる。日頃の兄弟同士のわだかまりもあって、それが一気に噴き出してしまった形。

 群像劇の形で、誰が主役というわけでもない。喬太郎の役どころは、新婦の叔父。何の仕事をしているのかわからないが、どうもアル中で誇大妄想壁があるらしい。テーブルに置かれたビールは飲もうとせず、ポケットに忍ばせたウイスキーをラッパ飲みしている。新婦たちは一ヶ月後に『新婚さんいらっしゃい』に出演予定で、どうしても結婚式だけは話のタネとしてもやっておきたいという裏事情もありそう。番組の司会者が桂文枝だという話題が出たところで、喬太郎扮する叔父が「文枝師匠とは顔見知りでしてな」という、誇大妄想の台詞とも楽屋落ちとも取れる台詞があり、爆笑が起きた。ほかにも、自分が結婚してバージンロードを歩くときの新婦との会話を落語のようにして妄想するといった場面もあって、こういうのこの人にやらせると、まさに独壇場。

 新郎は劇団員という設定で、居酒屋でアルバイトしている。それがふたりの兄にとっても不満ではあるらしい。動物電気の小林健一が劇団仲間で、披露宴の余興を買って出ている。事件が起きた上に、親族がみんな控室に籠ってしまっているから、余興のレパートリーを次々と披露している。落語をやってスベり、マジックの胴体切断でトラブルが起こっている模様。最後の余興のためにメイクを始めるのだが、それが、あっというものに変身する瞬間は見もの。これにはやられた。

 芝居のラストでも、驚きのエンディングが用意されていた。それまでの伏線から、ラストはこれかなと思っていたが、まさかこんなに大掛かりなものになるとは。

 カーテンコールで、喬太郎は、「いつもは落語を演っていますので上半身しか使いませんが、今日は下半身も使いました」と挨拶して笑いを取ると、田中真弓が、これまたそれに、うまく突っ込んでいた。

10月10日記

静かなお喋り 10月9日

静かなお喋り

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