池袋で、寄席て上げて 2015年10月11日 あうるすぽっと 『この素晴らしき世界』上演中のペテカンが、一晩だけ番外編として行った演芸会。芝居の時とは違って、みんな別の楽しさを満喫しているよう。 「どうしてもこの人が最初にやらせてくれと言うものですから」との紹介で、ナース姿のコスプレ衣装の女性がメクリをかえす。ちなみにこのめくりガールなる人物、めくりをかえすたびに、いろいろなコスプレ姿を見せてくれるという楽しい趣向。そしてメクリに書いてあった名前はなんとトリを取るはずの柳家喬太郎。プログラムにはないが前座という形で羽織も着ずに高座に上がり、何食わぬ顔で『子ほめ』。この噺は『この素晴らしき世界』のなかでも、小林健一が結婚式の余興係で演っている一部が聴こえてくるという場面があった。前座噺としてよくかけられる噺だが、喬太郎が実に楽しそうに演じる。聴きなれた噺でもドッと笑いが来たりして、やはり上手い人が演ると面白い噺だなぁ。 山口良一と大森ヒロシの漫才。今回のペテカンの公演にはふたりとも出てないが、押しかけ出演らしい。アハハハハ。先月のごらく亭でやったのと同じネタ。高校時代の憧れの先輩のネタ。携帯電話がなかった時代、好きだった年上の女性の先輩の家に電話すると父親が電話に出てしまうという、あのころの時代に青春だった者なら誰でも経験のあること。甘酸っぱい季節でしたな。 ペテカンの男性四人、ペテ肝亭男子によるコント。飛び降り自殺をしようとしているふたりの男のところへ、もうひとり、余興の芸が受けずに自殺しようとする男と、それを引きとめようとする男がやってくる。二人の前でもう一度芸をやってみせて、受けなかったら飛び降りるということになるのだが・・・。 客演で出ている小林健一の所属する動物電気の団体宴会芸。まあ、動物電気の芝居のなかでも登場する例のアレ。ふんどしに割箸を挟んで尻で折るとかいうやつ。ほかにも腹踊りとか組体操逆さピラミッドとか、くだらないけど異様に面白い芸。そして最後は客いじりの借り人競争。 ペテカンの女性四人、ペテ乾亭女子のコント。OLたちの休憩室。結婚式の披露宴で読む、両親への手紙を書いたから一度聞いてほしいと読み上げる同僚。サンドイッチマンの漫才ネタのようなネタなのかと思ったら、驚きの展開に。 そしてトリは柳家喬太郎。前にやったペテ乾亭女子のコントのなかの「新宿三丁目で立ち食いそば」という台詞を受けて、昨日、会場近くの[六花そば]へ入ったという話題から、お得意のコロッケそばの話。そこから古典に入るとみせかけて『ハンバーグができるまで』。マモルとサトミのメインキャラクターに、商店街の人々。思えば実に演劇的な噺。ふんだんな笑いを盛り込みつつ、最後にしんみりと終わる。まさに喬太郎世界。学生時代に作った『すみれ総二○一号』などの延長線にあるような噺。なんとも心に沁みるなぁ。 終わって記念撮影会。落語会では絶対にありえないことだけど、こういう一体感って、やっぱりいいよなぁ。 10月12日記 静かなお喋り 10月11日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |