落語教育委員会in鈴本演芸場 2018年1月31日 鈴本演芸場 緞帳が上がると、恒例のオープニングコント。下手に布団が敷かれ、上手を頭に歌武蔵が寝ている。上手には小三治が座っている。えっ! 小三治? 客席からざわめきが。 本日のコントは『死神』。歌武蔵が病人で、小三治が死神。主人公の男が喬太郎で、番頭が正蔵という配役。 「なにしろ相手は死神の宝ですから」と喬太郎。 オチは始まったときからわかったようなものだが、病人が重すぎてクルッと回せない。 開口一番は、三三の弟子で昨年11月に二ツ目になった柳家小かじ。今まで三三の独演会で遠くから見ていたが、今日は前の方の席を取れたので顔がよく見えた。小三治の孫弟子に当るとあって、コントの様子を楽屋で緊張して見ていたとこと。噺は『熊の皮』。 次に上がったのが柳家小三治。いやあ思わぬサプライズゲストで得した気分。 もともと落語教育委員会は、歌武蔵、喬太郎、そして喜多八の三人の会。二年前に喜多八か死んでからは、鈴本での落語教育委員会は喜多八にゆかりのあった人を喜多八の代わりに迎えて公演してきた。今回は正蔵がその役という形だが、鈴本では今回が最終回ということで、サプライズとして喜多八の師匠だった小三治にもお願いしたそうだ。 陰気な芸風だった喜多八に、(自分も陰気だが)もっと明るく演れといっても明るくなれない。それがおかみさんの「陰気に演るなら、とことん陰気に演りなさい」の一言で突き抜けたと語った小三治。そうだよな〜。あの芸風をマネできる人はもう現れないだろう。 さらにマクラは、年末の富岡八幡宮の刃傷沙汰で使われた刀は、代々伝わる名刀かと思ったら、33万円だか53万円で売られている駄刀だと知ってガッカリしたという話。ここまてで持ち時間の17分を使い切って、『小言念仏』。 オープニングコントは「楽しかった」、「またりたい」と言っていた。よかったよかった。 三遊亭歌武蔵は『支度部屋外伝』。といっても、昨年の日馬富士事件から続く大相撲界の裏話の大放談。いや〜、面白い面白い。いったい今相撲界で何が起きているのか、笑いを交えてわかりやすく解説してくれた。テレビのワイドショーもヘタなコメンテイター呼ばずに、歌武蔵を呼べばいいのに。いや、テレビではヤバいかな、歌武蔵の話は。 林家正蔵は、自分が15歳のときに前座になったとき一緒だったのが、小よりと小太郎だったと語る。小よりは後の喜多八、小太郎は後の四代目三木助。同期会をやろうにも、もう二人ともこの世にいない。 喜多八と一緒にやった最後の高座は、喜多八は『うどん屋』だったそうで、そのときに正蔵は「これを演りました」と『四段目』。 ヒザに色物がいないと、立ち上がって『奴さん』を踊る。 柳家喬太郎も、喜多八、歌武蔵との落語教育委員会の思い出を語って『ハワイの雪』。 雪の降るなか息を引き取っていくチーちゃんが喜多八にダブって、つい泣いてしまった。 2月1日記 静かなお喋り 1月31日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |