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客席放浪記

白鳥・三三 両極端の会 vol.6

2013年4月30日
紀伊國屋ホール

 まずはふたりのトークから。四十七都道府県落語会を終えた三三の本音が面白い。東京では独演会のチケットはすぐに売り切れてしまう人気者だが、2〜30人程度しか集まらなかった県もあったらしい。ほかにも白鳥の前座時代の逸話やら、某落語家の話などで盛り上がる。とても書けないよ。

 今回のテーマは“親子”。親子を扱った古典落語はけっこうあるものだが、柳家三三が始めたのが『木乃伊取り』。そう来るとは思わなかった。親子の噺といえなくもないが、意表を突かれた。酒を飲むとグズグズになってしまう男が出てくる噺は多いが、清蔵も根っからの酒好きなんだね。注がれた酒を残すのがもったいなくて飲んでしまうのが、その証拠。落語世界の住人はどうしてこう酒好きばかりなんたろうねぇ。そういえば三三の四十七都道府県落語会は呼ばれたのではなく自主興行でウチアゲ無しだったとか。ああ、それなら続けられるよなぁ。落語会のあとのウチアゲっていうのも、あれで結構落語家さんには負担だろうから。

 仲入り後の三遊亭白鳥は、この日のためにネタおろし。この会から生まれた『豊志賀ちゃん』に続くミミちゃんもの。「古典テイストです」と前置きがあったので、どういう噺にしたのかと思ったら、聴いているうちに、これは『子別れ』を改作したものだということが少しずつわかってくるという構成。終演後貼り出された演目には『子別れミミちゃん』とあった。例によって三三ならぬミミちゃんが出てくる噺で、実在の落語家の実名も、どんどん出てくる、かなりアブナイ噺。そのたびに会場から拍手が。「その拍手はやめてください」と返す白鳥が可笑しい。そういう噺だから、あまり具体的なことは書けない。元が『子別れ』だが、もちろん白鳥にかかると爆笑篇。座布団芸もたくさん飛び出す。それでいて、ちゃんと伏線になる前振りを、ところどころに入れてある。暴力的であまり可愛げのない子供の設定がちゃんとサゲに繋がるというのも上手い。

 終わってアフタートーク。当初は女子アナが出てくる噺にするつもりでいたのが、諸般の事情でまずいことになって来たので、グラビアアイドルに変えたとの事。でもこれ、女子アナにした方がもっと面白かったと思うよ。ウハハハハ。

5月1日記

静かなお喋り 4月30日

静かなお喋り

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