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客席放浪記

コント「お前、ホンマ最低やな!」王決定戦

2017年8月11日
赤坂 Red/Theater

 最低なキャラクターが出てくるコントで、どの組が一番面白かったかを競う会。持ち時間8分。テレビのネタ番組の持ち時間はせいぜい4分までだから、テレビではできないネタはかりが並んだ。

ザブングル
 加藤が松尾の経営する町工場のバイトの面接に現れる。加藤はニート歴30年の53歳。手に求人難を報じる新聞を持っていて、世の中求人難だそうだから、俺が働いてやると上から目線。土日は働かないとか、自宅は徒歩圏内なのに交通費を出せとか、賄いはないのかと、言いたい放題。そこに使い勝手のよさそうな若者からの応募の電話がかかってくると、加藤はうろたえ始める。
 ヘタレ役をやらせたらバツクンの加藤らしさが出たコント。

空気階段
 本日出てきたキャラクターのなかでは人間的に許せないレベルの鬼畜キャラ。内容的にも書けないし、これテレビのある長寿番組のパロディ。これはできる場所が限られる。しかしこれ、面白かったな〜。観られてラッキー。

マツモトクラブ
 都会でロックバンドデビューを目指していた男。夢破れ故郷に帰ろうとしている。そこに声をかけてくるバンド仲間。「お前のことは忘れないぜ」と、あんなことがあったこんなこともあったと、いろいろ昔話を始め、なかなか去らせてくれない。そしてだんだんバンド仲間の本心が見えてくる。
 真相は、バンド仲間のいかにもみみっちい立替金の催促。でもあの場でそんなことを持ち出すのは確かにサイテーな奴。バンド仲間の言っていた台詞かあとから効いてくる。上手い台本と演技。

かもめんたる
 このネタは単独ライヴで観ている。
 槇尾が部屋でテレビを見ていると、ケータイが鳴る。それは自分のではなく彼女が忘れて行ったもの。電話に出てみると彼女の元カレ。槇尾を元カノと信じて疑わず(声も性別も違うのに元カノと思い込んでいる時点でサイテーキャラ)、ヨリを戻したがっている。どうやらこの男、彼女に大きな借金をしているらしいのだが、また映画を作りたいから金を貸してくれと言い出す。
 いかにもいそうなサイテーなやつ。もう切れているのに、相手は自分のことが好きなんだと思い込んでいるのだろうか。映画関係というのがリアル。

ジャルジャル
 ネタ見せオーデション。ビン芸人のチャラ男番長がネタをやって見せるが、合格ラインに程遠い。「お引き取り下さい」と言うと、もうひとつもっといいネタができそうだから5時間待ってくれと言い出す。また出直してくれと言うと、「あなたはいつも、芸人が好きだ。尊敬していると言ってるじゃないかと言い返し、強引に5時間待たせる。しかし5時間待ってやってみせたネタはさっきと同じ。ピン芸人は、さらにもう4時間待ってくれと言い出す。
 ひょっとして芸人仲間で、このコントのキャラクターに近い、モデルになった人間がいたのかもしれないな。こういう人間も実際にいそうだもの。

さらば青春の光
 これは一度観ている。おそらく You Tube だと思う。とてもテレビでは放送できないだろう。
 ヤクザの事務所に男がやってくる。ギャンブルをやるから自分の臓器を買ってくれと言い出す。ヤクザは金なら貸すと言うのだが、自分は借金は嫌いだと言う。しかしすでにこの男、腎臓ひとつ、肺ひとつ、そして肝臓もない。もう片方の腎臓も売って、今度こそギャンブルで大儲けし、臓器を買い戻して、臓器がないとバカにした奴らを見返してやるんたと言い出す。「それは見返すんじゃなくてチャラだからな」と突っ込む森田が可笑しい。
 ヤクザの上を行ってしまうサイテー人間。やはり今、さらば青春の光は私が一番好きなコントだ。

天竺鼠
 今や珍しいコント55号型のコント。道具も何もない舞台。教室という設定らしく、教師が入ってきて生徒は起立して着席する。が、椅子もなく生徒役は中腰の姿勢のまま座った真似。「では抜き打ちテストを始める」と教師。以降、中腰の姿勢のまま8分のコント。もっとも実際は10分やっていたらしい。ひたすら耐える生徒役が苦しがって声を出したり立ったりするたびに、教師役は「静かにしろ」、「立つんじゃない」を繰り返し、「最低だな」と罵倒する。どちらがサイテーなんだか。アハハハハ。

 審査員の判定により、今回の王者は、かもめんたる。

8月12日記

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