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客席放浪記

柳家さん喬独演会 昼の部

2017年12月23日
三鷹市芸術文化センター星のホール

 開口一番前座さんは金原亭駒六『子ほめ』。前座修行頑張ってね。

 柳家喬の字『厩火事』。師匠さん喬に教わった噺かな? 口調が師匠とよく似ている。嫌味の無い『厩火事』。

 柳家さん喬、一席目は『そば清』。そばの食べ方が上手いし、なにしろきれいだ。どちらかというと大食いをする気持ち悪い噺だから、食べ方が汚いと、観ていて辛くなる。やはり品は大切だね。

 二席目は円朝作の『福禄寿』。さん喬のものを初めて聴くことができた。演じ手が少ない噺。落語には年末のいい噺が多くて、何もいまさら『福禄寿』を憶えることはないというのだろうか? いい噺なんだけどなぁ。実の息子は放蕩者で、引き取った妾の息子はよくできた働き者。実の母ではないのに、「おかあさん」と慕って来る。これってよくできた噺。母を亡くして母代わりになってくれた人物に孝行しようとする男の心情もわかる。また実の母だとつい甘えてしまう息子の心情もわかる。さらにはできの悪い息子ほどかわいいと思ってしまう母親の気持ちもわかる。このへんのことがわかつてくると実に面白い噺なのだ。やはり演る方も聴く方も年を重ねないとわからない噺なのかもしれないが、円朝はやはりすごい。

 仲入り後は、翁家和助の太神楽。寄席に出ているときと違って今日はピン。普段寄席ではやっていない長バチの曲芸や、傘回しアドバイス、以前からやっている「生活に役立つ曲芸」コーナーなどをやってくれた。どびんも普段やらない技も見せてくれる。ただどびんは口を封じられるから、誰か相方が欲しい曲芸かな。

 三席目。さん喬の師匠小さんは、博打が嫌いだが勝負事は好きで、囲碁将棋はやったというマクラから、これも年末の噺『文七元結』。囲碁に夢中になって大金を忘れてきてしまう文七と、博打でスッしまう長兵衛。マクラの意味が上手く作用するにくい演出。さん喬がやると、この噺、長兵衛もそんなに悪い人物ではなく、佐野槌の女将も説教臭くなく実にできた人物。聴いていて嫌な気にならない。

 年末の噺二席をこの時期に聴けたのは、うれしかったな。

12月24日記

静かなお喋り 12月23日

静かなお喋り

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