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客席放浪記

月例三三独演

2013年5月16日
イイノホール

 毎月この500席もあるイイノホールを満席にしている三三。そこ上がった二ツ目の柳家わさびは、いささか勝手が違うよう。「いつも、つばなれしない会で演ってますもので」と言いながらも、『長短』の長さんをゆっくりと間を取りながら。落ち着いでるじゃないの。

 柳家三三一席目。先代の小さんが楽屋で、将棋が強い当時前座だったさん福に5〜6局続けてコテンパンに負かされ「胴着を着ろ!」と剣道で執拗に打たれたというエピソードをマクラに『岸柳島』。相手が師匠とあっては岸柳島の手口で逃げるわけにもいかない。

 二席目は『厩火事』。この噺のおかみさんは典型的なオバサン。人の言ってることを聞いてない。勝手に解釈する。話の言葉尻をひったくって小脇に抱えてスッタカスッタカ一人旅。亭主への不満を口にしながらも未練たらたら。思わず相談された側も「おめえ、人間は悪くねえけど、わがままだと思わねえか?」と言いたくなるやね。でもそうは思わないのがオバサンなんだなぁ。

 仲入り後の三席目は、先日紀伊国屋ホールの『両極端の会』で聴いたばかりの『木乃伊取り』。酔っぱらって、どんどん周りを白けさせているのがわからない上に、空気も読めない清蔵というのも、ある意味オバサンなのかもしれない。国の芸者熊奴の得意だという『正調肥たご音頭』というの、ぜひ聴いてみたいなぁ。ウハハハハ。

5月17日記

静かなお喋り 5月16日

静かなお喋り

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