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客席放浪記

月例三三独演

2013年8月9日
イイノホール

 開口一番は三三の弟子、柳家小かじ『道灌』。前座修業頑張ってね。

 柳家三三、一席目は『壺算』から。アニぃに付いて水瓶を買いに行く男はバカと言う設定だが、店主の前で大笑いしてみせたり、足元をみられちゃいけないとしゃがみこんで着物の裾で足を隠したりと、混乱に拍車をかける。算盤を前に考え込む店主を邪魔するのは三人の子供。飴玉を食べていいか訊いている。これをアニぃが頭の体操パズルにしてしまうから、店主の頭は大混乱。このアニぃって、ホント、頭いいのね。

 大いに笑ったあとは、怪談『団子坂奇談』。そば屋の娘に一目ぼれしてしまった侍が、武士を捨て、そば屋に修行に入ると・・・。この怪談も夏の夜の噺。寝苦しい夜の描写が、いかにも今の季節。息を殺して聴いていると、例の唖然とするサゲ。これが落語のいいところ。

 仲入り後が『唐茄子屋政談』。これも夏の暑い盛りの噺。
 こういう噺を聴くと、昔の人たちは立派だったと思う。若旦那も遊び呆けていれば勘当ということになる。今じゃ、勘当なんて死語になりつつある。働かないで家に寄生していても、親は追い出さない。だからますます働こうとしない。お天道様と米の飯は家にいる限り付いて回る。よしんば家を出てホームレスになっても、炊き出しがあったりで飢えることはないらしい。そんな勘当を食らった若旦那を真人間にしようと、八百屋の叔父さんは厳しく指導する。今の若者だけでなく、ニートになってしまった子供を持つ親にも、こういう噺、ぜひ聴いてもらいたいものだよなぁ。

8月10日記

静かなお喋り 8月9日

静かなお喋り

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