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客席放浪記

月例三三

2016年5月11日
イイノホール

 しばらく来ていなかった柳家三三『月例三三』。今月はまだ聴いたことのない『富士詣り』がネタ出ししてあったのでチケットを買った。その一席目にさっそく『富士詣り』がかかった。
 リタイヤしたお父さんが、毎日やることがなくて、朝からウイスキーのソーダ割を飲んでいる。「ウイスキーだけにニッカ」。大喜利選手権で実力のほどを見せつけている三三だけに、こんな小噺を作るのは、それこそ朝飯前だろう。リタイアした人で登山を趣味にする人が多いというマクラから噺に入った。
 『富士詣り』は、山岳信仰で富士山に登りに来た連中の噺。突然天気が悪くなる。行いのよくない者がいると天候か荒れるんだと、ひとりひとり何か悪いことをしなかったかということになり、懺悔大会が始まってしまうという噺。肩の凝らない軽〜い噺だ。

 二席目はネタ出しのなかった一席。マクラ長めで、最近の鎌倉や沖縄での落語会のことやら。さらに自分が子供時代はGWといえば地元小田原のお祭だったという思い出話。
 「最近奈良の鹿、小鹿の数が減ったそうで、鹿の世界も少子化。このまま少子化が進むと、バンビ休す」と小噺とも取れることを口にしてから『鹿政談』
 「昔から放してある鹿は大事にしろ、放しかは大事にしろ、噺家は大事にしろ・・・」。言い始めてすぐに笑いが起こる。この噺を知っている人も多いだろうが、このクスグリ、「これは必ず言えと、上の者から言われております」
 三三の『鹿政談』は四年前に聴いていて、これが二度目。

 仲入り後にゲストの二ツ目、柳亭市童。三三によると、市馬が「やっとうちにもしっかりした弟子が来た」と言うので何かと思ったら趣味が昭和歌謡とのこと。な〜るほど、それでネタが『高砂や』

 トリの噺は『百川』。百兵衛が、くわいのきんとんを飲み込む表情が可笑しくて上手い!

5月12日記

静かなお喋り 5月11日

静かなお喋り

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