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客席放浪記

高度勢朝デラックス

2013年9月26日
池袋演芸場

 開口一番の前座さんは柳家緑太『たらちね』。前座修業頑張ってね。

 初音家左橋は、「何を演るか考えずに上がってしまった」と言いながら『棒だら』。よくこう言いながら噺に入る人がいるが、噺家さんって何をきっかけで、マクラを話しながら噺を決めるんだろうなぁ。

 春風亭勢朝の一席目は『目黒のさんま』だったが、これがもう普通じゃない。ほとんど地噺のようになっていて、どんどん脱線していく。なにしろ楽屋受けする話をたくさん持っている人で、芸能人の話とかさせると、どこまでが作りで、どこからが本当にあったのか区別がつかない。そこに楽屋噂話やらダジャレがテンコ盛りという状態。頭の中を引っ掻き回されているようになって笑っているうちに終わってしまった。「さんまを恋しがるお殿様、目黒の方を向いて歌う。 ♪サンマタ〜イム」

 柳家一九『道具屋』は、五代目柳家小さんの型で、最後の客が、与太郎に同じ質問ばかりして、鏡を見ながらヒゲを抜いていく。これがなんとものんびりしていて可笑しい。小三治、三三あたりも、これを引き継いでいるらしいが、私は聴いたことが無かった。柳家の『道具屋』の長いヴァージョンってこうなんだな。『道具屋』って、前座噺しか、あるいは聴いても短いブアージョンしか、なかなか聴く機会がない

 春風亭勢朝の二席目は、彦六エピソードをマクラに『千両みかん』。なんだかこの噺のオチって、勢朝の与太話の延長に思えてくる。落語ってもともとそういうものなのかもな。

9月27日記

静かなお喋り 9月26日

静かなお喋り

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