直線上に配置

客席放浪記

2012年4月7日 第六十回扇辰・喬太郎の会

 開口一番、前座さんは入船亭辰じん『真田小僧』。頑張ってね。

 「相撲中継を見ていると、客席に市馬師匠がいるのが見えることがよくある。それで、落語協会のホームページを見ると、本日の寄席の市馬師匠の出番が代演になっていたりする・・・あっ、ウソですよう!」 柳家喬太郎が相撲のマクラを振り始めたと思ったら、『花筏』へ。腰を浮かせて、土俵入りの所作。腹をポーンポンと叩いて「今日受けるのは、ここだけかな」

 入船亭扇辰のネタ下ろしは『匙加減』。これなどは典型的な上方噺という気がする。お白州の場面のあと、加納屋が大家のところにやってくるところなどの胸のすく展開は溜飲が下がる思いがする。「そんな卑屈になって入ってくるところをみると、NHKの集金人か?」 逆にぼったくる大家さんは上方の人でなくても、「ようやるわ」という気になる。

 仲入り後、先日の荒れ模様の天気の日に池袋演芸場に出番があったというマクラが始まった入船亭扇辰。「会社帰りの人が諦めて、嵐が収まるまで多くの人がカラオケ屋に行ったそうですね。風が吹けば(カラ)オケ屋が儲かる」と、始まったのが『千早ふる』。「竜田川っていうのは、相撲取りの名前だ」 あらあら、扇辰も相撲取りの噺だ。「相撲取りは歌武蔵じやないんですかい?」 「歌武蔵は相撲が下手で噺家になった」

 落語会のしきたりの話題から、なぜ協会には健康診断の制度がないのかといった疑問。健啖家の先代小さんが食べた最後の食事の話から、柳家喬太郎がネタ下ろしの『短命』へ。ネタ下ろしとあって喬太郎らしい工夫はこれから先になるのか、想像していたよりも普通の『短命』。これからどう料理していくか楽しみ。

4月8日記

静かなお喋り 4月7日

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置