遥か遠く空の下で君に贈る声援2013 2013年7月4日 王子小劇場 シベリア少女鉄道、2003年公演の再演。 この劇団は、演劇というものを、いい意味で舐めている姿勢が面白い。なにか高尚なものを語ろうとか、そういうものは一切無し。やりたいことはただ一点、芝居自体に何か仕掛けがあり、後半でそれが明らかになった時に、お客さんを驚かせたい。それに尽きるようだ。それも徹底してバカバカしい仕掛け。これに乗れれば大爆笑で、「ああ、面白かった」で終わる。しかし時にスベるときがあって、そうすると「まっ、次に期待するか」となる。あるいは初めて見に来たお客さんで、このあまりにクダラナイ構成に怒り出してしまう人もいそう。そういう人は次からは見に来なけりゃいい。 今回の舞台は喫茶店。そこに出入りする7人の男女の他愛もない恋愛模様が綴られるのが、前半のネタ振り部分。登場人物の名前が全て『めぞん一刻』のキャラクターから持ってきているので、最初はここにヒントがあるのかなと思っていた。ところがこれはフェイク。見た目、ごく普通の恋愛ドラマなのだが、全員がそれぞれ口癖があり、その口癖を言うと効果音が入る。 1時間50分の上演時間のうち、1時間10分経過したところで、突然変化が起こった。舞台上部に隠れていたものが、あらわになり、喫茶店の窓のカーテンが開く。客席から笑いが起こる。「そうかぁ、これがやりたかったのかぁ!」 今回も、してやられた感じ。 この部分がこの劇団の肝になるので、ネタバラシはできない。 しかし、入場の際に渡されたパンフレットの文章の中にもヒントが隠されていたり、よく出来た仕掛けだと思う。 例によってカーテンコールは無し。いつも拍手も無いのがこの劇団の特徴だが、今回は拍手が来た。それでも音楽でその拍手を打ち消してしまうという徹底ぶり。どこまでシャイなのか。 7月6日記 静かなお喋り 7月4日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |