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客席放浪記

渋谷らくご しゃべっちゃいなよ

2017年10月17日
ユーロライヴ

 毎月五日間行われている『渋谷らくご』も、もう三周年だそうだ。なかでも偶数月に行われている林家彦いちが中心になって進めている企画、新作ネタおろしの会『しゃべっちゃいなよ』は気になっていながら、いまだに一度も足を運んだことがなかった。

 立川志の太郎。志の輔の六番弟子だそうだ。二ツ目。私は初めて聴く人。軽快な口調で聴いていて気持ちがいい。『昔噺』は、夏休みの宿題で、オリジナルの昔噺を作ってくるように言われた息子が父親に相談する。しかし父親には創作の才能はなさそう。そこで息子は、この今やっていた父親とのやり取りをそのまま昔噺として語ることを思いつく。
 志の輔の『親の顔』をちょっと思い出すような発想で面白かった。

 三遊亭わん丈は、今日の午後に作ったばかりという三題噺。「コンビニ」、「雨」、「食欲の秋」から作ったそうだ。コンビニのアルバイト店員三人は、それぞれ「眠る事」、「エロいことを考える事」、「食べる事」に気を取られて仕事が疎かになりがち。そのことを注意して、このままだと三人のうち誰か一人をクビにすると言い出す。題して『食欲のアキラ』
 三分ほどの落語で、その前にやった、いくつかのマクラが長くて、そっちが抜群に面白かった。とくに永谷園のお茶漬けの話は大爆笑。

 神田京子『テモとイネ〜おてもやん〜』は、この歌のモデネになったテモと、この歌を作ったイネの出会いを講談にした意欲作。最後は立ち上がって『おてもやん』を踊った。

 今までの落語の法則を飛び出した落語を作る瀧川鯉八。今日の『人生あやとり』は、偉人はみんな逸話を持っているから、偉人になるにはまず逸話を作らなければならないという男が登場する。お客さんにはよく受けていた。私は例によって置いてけぼり。きっと新しすぎて私には付いていけないのだろう。

 オレゴン州ポートランド公演を終え、11時間のフライトで成田に着いたその足で会場にやってきた林家彦いち。飛行機のなかで作ったばかりの噺は『まん中』。飛行機の三列シートの真ん中D席にひとりで座ってしまった男の噺。実際に帰りの飛行機もD席だったそうで、そのときの両隣の人もモデルにしたのだとか。オレゴン州といえばマウントフット。マウントフットといえば『シャイニング』。噺の後半には『シャイニング』も関係したホラーのような展開に。

10月18日記

静かなお喋り 10月17日

静かなお喋り

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