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客席放浪記

2012年7月19日渋谷に福来たる〜落語ムーブ2012〜(大和田伝承ホール)

 『トップ・オブ・ザ・ワールド』の出囃子に乗って、春風亭一之輔登場。「今がピークという、私の状況を表現しているような出囃子をお願いしました」と笑わせて、春風亭昇太と三笑亭夢吉を呼び入れてオープニングトーク。
 先日まで東京の寄席五ヶ所、51回の真打昇進披露興行を終えた一之輔相手に昇太が、披露興行って、やっているうちにイライラして来たという体験談を語る。
 以前、昇太は、落語会でお客さんから貰って迷惑なものというのを『東京かわら版』に書いていたが、生花、お酒は本当に困るらしい。「5000円の生花だったら、2000円の現金。5000円の酒一升だったら2000円の現金」
 やっぱりねえ、相手は芸人さんなんだから、御祝儀として現金を包むのが一番なんだよね。

 三笑亭夢吉も自分の高座のマクラで、困った貰い物の話。2リットル入りのペットボトルの名水20本。持って帰れなーい! ネタは『両泥』。雷門花助が掘り起こした噺で、以前からこれは面白いからみんな演ればいいのにと思っていた。夢吉もすっかり自分のものにしている感じ。

 春風亭一之輔の一席目はネタ出ししてあった『不動防』。おたきさんと結婚することが決まった男の銭湯での、ひとりキ○ガイの様子が可笑しいし、ふたりをやっかんだ長屋り連中のドタバタも面白く見せる工夫がしてある。この人、やはり、顔の作り方、間の取り方、言葉の選び方、どれをとっても可笑しい。

 仲入り後は、春風亭昇太。やはり今や古典はアレンジの時代だと述べ、これから10年から15年は、この状態が続くだろうと分析してみせる。城跡好きの昇太、最近はそういう取材が多いとのマクラで楽しませたあとに『ちりとてちん』。この人の『ちりとてちん』はもう定評がある。ドッと笑いを取る。なぜか手ぬぐいを忘れて高座にあがってしまったちようだが、それすらも笑いに変えてしまう。勢いがあるよなあ。

 春風亭一之輔トリは『千両みかん』。この人の登場人物は時に何考えてるのかわからないようなところがあり、そこから突飛な台詞が出てきたりして面白いのだが、このような噺のサゲのような番頭さんの行動は、まさに一之輔の得意とするところかもしれない。スッと下げたところの爽快感はストーンと決まっていて気持ちいい。

7月20日記

静かなお喋り 7月19日

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