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客席放浪記

2012年9月1日深夜寄席(新宿末廣亭)

 いつもながら客層が若い。出演者も全員二ツ目だから、そのお友達が来ているのかとも思うが、どうやらそうでもなさそう。しかも大入りはまだ続いている。ともあれ、うれしいことだ。

 瀧川鯉斗は、「実は落語家になる前は、暴走族の総長をやってまして・・・」という掴みで客を引き付けるから、それだけでもうその場を貰ったようなもの。いつもの暴走族話を披露して客席を温め、『新聞記事』へ。ちょっと見なかった間に落語家が板に付いてきた。変わるもんだ。

 神田蘭は二日後に内幸町ホールでり独演会を控えているが、なんとチケットはもうソールドアウトなんだとか。そこでかける新作をここで軽くさらっておこうという魂胆。題して『新釈古事記・天岩戸開き』から『アマテラス降臨』。「お後は、独演会で。前売りチケットは売り切れですが、当日券が若干あります」 あらあら。

 春風亭昇吉は前座のころから上手いと思っていたが、熱演派としてメキメキ実力を上げてきているようだ。持ち時間の中で『筍』『たがや』の二席。どちらもお侍が出てくる噺。侍が実に様になっている。師匠の昇太とは別の方向に行きそうだ。期待の大器。

 昇吉の熱演で座布団の前が汗で濡れているらしく、三笑亭夢吉は床を手拭いで拭きながら、深夜寄席裏話で笑わせて『蛙茶番』。なんの、夢吉も大熱演。昇吉の汗を拭きとった手拭いで自分の汗も拭き拭き、爆笑の芝居噺を。

 若い人たちの一生懸命さが伝わってくる深夜寄席。人気があるわけだ。

9月2日記

静かなお喋り 9月1日

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