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客席放浪記

深夜寄席

2014年12月6日
新宿末廣亭

 深夜寄席に来たのは久しぶりだなと思ったら、前に来たのは半年前だった。あいかわらず満員の盛況ぶり。

 先月、[連雀亭]『ワンコイン寄席』で初めて観た、三遊亭日るね。天然の明るさが面白い。なんと小さいころから宝塚志望だったそうで、歌や踊りを習っていたそうだ。マクラでちょっと聴かせてくれた声は本格的な発声法による堂々たるもの。ミュージカルなんかにも憧れていたらしいのだか、結局その天然キャラが災いしてかオーデションに落ち、なぜか落語家になったらしい。しかし「落語で男役も出来る」と、ここでも天然の楽天家ぶりを発揮しているところが可笑しい。それで今夜の『あたま山』なのだが、これまたほとんど脱線する地噺仕様。自分の体験談が始まったり、歌いだしたり。その自由さはいいね。この天然さは、いまに人気になるような気がする。

 月の家鏡汰『たけのこ』。柳家喜多八が得意にしている噺だが、最近はずいぶんと演じ手も増えた。喜多八流の淡々とした演出をそのまま使っているが、この人流にもう一工夫あったらもっと面白くなる気がする。

 勢いのある二ツ目の噺を聴くのは楽しい。鈴々舎馬るこは古典を改作することが多いが、今夜は『新・牛ほめ』と来た。噺を現代に持って来て、ただの家ではなく、なんとデザイナーズハウス。教わった褒め言葉を間違って憶えているというのは古典どおりの趣向だが、現代に置き換えるとわかりやすくなるなる。昔の家のことなんて今の人はわからないものね。シャンデリアがサイゼリアになつたり、ウォークイン・クローゼットがポークイン・グラタンコロッケになったりする。それでもちゃんと牛までやっちゃう。デザイナーズハウスに住んでいる人が牛を飼っているというあたりがバンバカしくて可笑しい。

 トリは、来年三月に真打昇進が決まった柳家さん弥。前の三人が時間を早く切り上げて降りたので、残りは35分ある。これは大ネタかなと思ったら『家見舞い』をキッチリやって20分ちょっとで終わった。せっかくだからもっと大ネタでもよかったのに。ともあれ、おめでとう!

12月7日記

静かなお喋り 12月6日

静かなお喋り

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