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客席放浪記

深夜寄席

2015年8月22日
新宿末廣亭

 とにかくその天然ぶりが可笑しい三遊亭日るね。今日もマクラで、[浅草演芸ホール]の前で呼び込みに声をかけられたとか、花見をしていたら天狗連の勧誘を受けたとか話す。どうも落語家のオーラがないらしい。打ち上げでフィリピンパプに連れて行かれたとか、中国の高級クラブに連れて行かれて、ずらりと並んだホステスさんを誰かひとり選べと言われたとか、女とも思われていないらしいあり様。アハハハハ。
 そんな天然ボケが『星野屋』のお妾さん、花ちゃん(日るねが演ると、ちゃんという感じになってしまう)にも表れている。心中を持ち掛けられて、旦那だけ川に落として、悪びれる様子もなくスタコラサ。この感じがいかにも天然でマンガみたいに可笑しい。それが後半、死んだはずの旦那が乗り込んできてからの、男と女の駆け引きで、ずるがしこさが出てしまうあたりをどう処理するかが難しい。そこをうまく工夫すると、よりおもしろくなりそう。

 前座修業を終え、去年二ツ目になった古今亭始。自由な時間ができて好きなことができるようになったらしい。ヤクルト・ファンで神宮球場に野球を見に行くようになって、外野スタンドでビールを飲むのが楽しみなんだそうだ。それと釣り。「釣った魚を、その場で料理して、ビール」って、どっちにしてもビールかい。ネタは『野ざらし』

 三遊亭粋歌が「これから、びっくりするようなこと言いますよ」と言いだした。「この後出る、朝之助さん、深夜寄席に出るの初めてなんです。前に出た始さんと同時に去年の六月に二ツ目昇進したんです。始さんの方は、もうすでに一度、深夜寄席に出ているんです」。二ツ目になって十四ヶ月後に深夜寄席初登場って、落語協会の番組作っている人はどうなってるのかね〜。
 今日のネタは最近作ったらしい、季節にぴったりの『夏の想い出』。夏休みの宿題をやらないでいる小学生の男の子。母親に言われると、七月いっぱいは『キングダム』39巻を読破するのに忙しかった(う〜ん、マンガとはいえ、あの内容のものを一日4巻ペースで読むのはたいへんだ)。八月に入ってからはオンラインゲームで忙しくて、お盆は両親に連れられて行きたくもない里帰り。これからようやく自由になったところという理屈。先に宿題を片付けなさいと言われて、彼がとった秘策とは。サゲがいかにも現代っ子を感じさせて面白い。

 初深夜寄席の、春風亭朝之助『幇間腹』。鍼に凝った若旦那、壁や枕じゃあきたらず猫の脳天に鍼をズブリ。猫が剥製のように固まって動かなくなっちゃう。その猫を持って茶屋の二階に。おかみからも「あら、猫の剥製ですか?」と言われたり。部屋で猫の脳天に突きたてた鍼を抜くと猫がまた動き出す。名人なのかヘボなのか。アハハハハ。

8月23日記

静かなお喋り 8月22日

静かなお喋り

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