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客席放浪記

深夜寄席

2016年12月10日
新宿末廣亭

 久しぶりに来た『深夜寄席』。調べてみたら、どうやら今年4月に来たのが最後だったようだ。今夜も寒いなか、行列ができていた。

 「イケメン落語家ブームなんて言われてますがね、私のところには、そんな話は来ない。後輩に、『アニさんの顔はね、上の下』って言われまして・・・中の上って言われた方がうれしい」。柳家緑太は、とんでもない不美人との縁談を持ち込まれる噺『持参金』。どれだけ不美人かの形容を騙るところで、若い女性のカラカラ笑い声。女性は残酷だ。

 春風亭一左『宮戸川』。エロチックな描写が、やけに生々しい。深夜寄席ですなぁ。

 春風亭朝之助は、前に上がった一左と同じく、一朝の一門。この一門はしっかりした芸の二ツ目が揃っている。『だくだく』、いいデキだ。家財道具が全部、絵だと気が付いた泥棒、この部屋で寝ている男を見て、「あの野郎も絵か?」

 「私が最後、すぐに終わります」と柳家ほたる。で、入ったのは『芝浜』。アハハハ、30分はかかるな。
 権太楼門下、二ツ目八年。そろそろ真打昇進が射程内に入って来たところで『芝浜』。大ネタ挑戦だ。
 あんなに好きだった酒をぷっつり止めて、一生懸命働いての、熊の大晦日。今は儲けることじゃなく働くことが好きだと語る熊の様子の後で、おかみさんが、夢だと話していた大金の入った財布を出してくると、熊は「騙された」と猛然と怒り出す。酒を止めてすっかり真人間になったはずの熊の本性が覗いてしまう。これって、ある意味、怖いよね。これから先、本当に熊はちゃんとやっていけるのだろうかと思ってしまう。

 今年も『芝浜』を聴くことができてよかった。いい年末だな〜。

12月11日記

静かなお喋り 12月10日

静かなお喋り

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