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客席放浪記

深夜寄席

2016年4月9日
新宿末廣亭

 古今亭志ん松『長短』。この噺、最近は気の長い人の台詞をゆっくりと喋る演じ手は減ったなぁと感じていたが、志ん松は珍しく、ゆっくりゆっくり喋る型。これだけゆっくり喋るのは時代に合わなくなっているような気もするのだが、この噺、これだけゆっくりゆっくり、まどろっこしい男にした方が面白い。この緩急こそ、この噺のキモなんだから。

 柳家かゑるは、営業での出来事などのマクラから『東北の宿』。馬るこで聴いた噺だけれど、誰の作なのだろう。白鳥の『マキシム・ド・呑兵衛』にも似た噺だなぁ。

 三遊亭めぐろは、師匠円丈に入門したときの話がマクラ。『タイガー&ドラゴン』を観て落語家になりたくなって、図書館で落語の本を借りて読んだら、誰か落語家の弟子にしてもらえば落語家になれると知り、誰でもいいからと寄席に行ったら、たまたま円丈が歩いていて、寄席の人から「あの人、落語家さんだよ」と教えられて、そのまま頼み込んで弟子にしてもらったって、本当かな、これ?
 円丈の弟子ということもあって新作落語『進路相談』。お嬢さん高校への進学を考えている生徒に、「そこは無理だ」と諭す教師。会話が進むうちにこの生徒が男だとわかる展開は、喬太郎の『午後の保健室』を思わせる。短い噺だったが、もっと長くしても面白いんじゃないかなぁ。

 古今亭ちよりんが『蒟蒻問答』。こういう男ばかりしか出てこない噺は、女性の落語家にはちょっと苦しい気がした。しかしこの噺、登場人物を女性に変えることも設定上無理だろうし・・・。う〜ん、どうしたらいいんだろう。あと、せめてマクラでもう少し愛嬌があるといいんだけどなぁ。女性の咄家は、あまり愛想が悪いと損すると思うなぁ。出てきたとたん、「ここで帰るっていう選択肢もありますよ。私、気ィ悪くしませんから」と言われるのは喧嘩売られている気がしたけど・・・。

4月10日記

静かなお喋り 4月9日

静かなお喋り

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