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客席放浪記

早朝寄席

2013年2月10日
鈴本演芸場

 「私、落語界の峯岸みなみと言われております」と林家ぼたん。えっ、恋愛禁止規則違反? と思ったら、以前からよく峯岸みなみに似ていると言われていたそうだ。峯岸みなみはAKB48メンバーの中では14番目くらいの人気といった位置だそうで、前田敦子、大島優子といった超の付く人気者というわけでもなく、しかしAKB48をよく知っている人なら誰でも知っているという微妙なところだった。だから「峯岸みなみを12歳若くした」と言っても、わかってもらえなかたらしい。それが今回のこの騒動。突然、峯岸みなみは顔も名前も知られるようになった。「これからは、峯岸みなみが、林家ぼたんに似ていると言われるように頑張ります」
 ネタは『大師の杵』なのだが、地噺だけにアラサー女性視線の話題がてんこ盛り。『Classy』の『これが結婚できる服』特集を読むと、それはワンピースなんだそうな。「ワンピース買おうと思うんだけど」「第何巻?」

 三遊亭亜郎『ちりとてちん』。腐った豆腐に唐辛子をたっぷりかけたものを食べさせられた男は鼻をつまんで流し込む。鼻をつまんだついでに物真似「黒柳徹子です」

 林家たこ平『弱気の医者』はどうやら、桂九雀が演っているネタらしい。これは九雀の師匠桂枝雀が演っていたもの。おそらく教わったままの上方言葉。珍しい噺が聴けたなぁ。

 トリは去年二ツ目に上がった入船亭小辰(辰じん改〆)。「小辰になりまして、これを記念に炬燵を買おうと思って量販店に行って来ました。しかしあまり種類が置いてない。店員さんが『今、コタツは売れないんです。だからこれしかないし、これからも進化が望めないんです』。いやーな気になって帰ってきまして」
 ところがこの小辰、前座のときから「声がいいな」と思っていたが、二ツ目になって、ますます良くなってきた。ネタの『金名竹』だが、丁寧な演出が光っている。「木ぃが違っております」を何回も繰り返すことによって印象を強くするあたり、下手をするとくどくなりそうだが、小辰にかかると、そういった嫌味が無く自然に聴ける。なんだか二ツ目に上がったばかりなのに、もうすでにして風格まで出てきたよう。これからが楽しみな人がまた出てきたなぁ。

2月11日記

静かなお喋り 2月11日

静かなお喋り

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