直線上に配置

客席放浪記

そして僕は途方に暮れる

2018年3月31日
シアター・コクーン

 主演がイケメン俳優の藤ヶ谷太輔、共演が前田敦子とあって、もう端からチケット争奪戦が予想され、チケットを取る気力も起きなかった芝居。しかし三浦大輔の新作ともなれば気になる。それが「二階席の一番後ろのだけど・・・」と友人が取ってくれたのが回ってきて「行く行く、絶対に行く」と飛びついた。

 主人公は裕一(藤ヶ谷太輔)という20代半ばのフリーター。居酒屋のバイトをやっているが勤労意欲はさっぱり。里美(前田敦子)と同棲しているが浮気がバレてしまう。
 舞台後方のスクリーンにスマホの画面が現れて、浮気相手とのメールのやり取りが出ているようなのだが、残念ながら私の視力では、その内容はわからなかった。

 里美に問い詰められて、裕一は家を飛び出してしまう。もう最初からクズみたいな男の登場で、ポツドールの三浦大輔の世界が帰って来た感じで「よし、来た来た」という気持ちになる。裕一は友達の家に転がり込むが、ここでもクズっぷりを発揮。居候だというのに我が物顔でやりたい放題。ついに友人がキレてしまう。
 次に転がり込んだのは先輩の住む部屋。今度はさすがに下手にでるものの、ここでもしくじって出て行かざるをえなくなる。
 姉のところへ顔を出せば、罵られて故郷の母のところへ。母はどんな息子でも可愛いから面倒をみてくれる。この母親が体調を悪くしてて、裕一も故郷に帰って母親の面倒をみようと決心をするのだが、母親のあることからついて行けなくなり、ここも飛び出してしまう。
 すると今度は母と離婚した父親とバッタリと出遭う。ところがこの父親というのが裕一の何倍ものクズで、借金は踏み倒し、ギャンブルに溺れ、自堕落な生活をしている。

 ここまでが第一部。休憩の後、そのあとのことが描かれて行くのだが、ポツドールの時代のような破局に向かって転がり落ちていく、あるいは感情の爆発が起こるといった結末にはならない。それが私には物足りないのだが、イケメン人気俳優、シアターコクーンという大きな空間ではそうもいかないのだろう。いや、それでも主人公の落ちて行きかたは、よくここまで描いたと言うぺきかも知れない。とことん落ちた父親か言う台詞「面白くなっって来やがった」。それを主人公も最後に口にする。私としてはこのあとが観たい気がするのだが。どんな面白いことになるのか。

4月1日記

静かなお喋り 3月31日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置