新宿末廣亭十一月上席夜の部 2013年11月8日 19時からの割引料金で入場。 高座には橘ノ圓が上がっていた。「先代の今輔師匠なんかは、出番が終ると楽屋で酒を呑んでいましたよ。『ここで呑むのが一番うまい』ってね」 このマクラだとすると酒の噺だなと思っていると『禁酒番屋』。二番手の油屋に化ける手口の男が徳利にまで油をベタベタと塗りたくって偽装したものだから、調べる役人の手もベトベト。「ひどいものに入れてきたものだな」 仲入り後は、神田きらりの『山内一豊 出世の馬揃い』から。若い人は張り扇で釈台を叩く音が大きい。たしかに寝てられないわ。 Wモアモアは、今日の昼間に報道された島倉千代子が死んだ話題から。「75歳、肝臓がんですって。次は俺の番かと思ってね。でも楽屋には俺より上のがいっぱいいるよ」「楽屋でいっぱいやってるんですよね」 これが落語のマクラのようになって、今日は祝儀不祝儀の話へ。 山遊亭金太郎は『松山鏡』。親孝行な男は何も欲しがらない。金にも興味が無いと言う。「金なら、落語家がよく『祝儀くれ祝儀くれ』言いますんで、あいらにあげてください」 うん、高座ではよく言ってるよね。 マクラの部分で、小噺をいくつかやるスタイルなのが桂富丸。ちょうど先代の林家三平のような感じ。今日は小噺と小噺の間に「来年、消費税があがるんですから」を入れる。三平の「もう、たいへんなんですから」と同じ役割。これで調子を付けているんだな。 ネタはいつもの『老稚園』。 タキシード姿で太神楽をやる鏡味健二郎は、お盆の曲芸のコツを教えてくれる。なんとなく出来そうな気もするが難しいんだろうなぁ。「利き腕と反対の腕で練習すると、あとが楽ですよ」 う〜ん、それ以前に難しいと思うけれど。 トリは神田松鯉で『肉付きの面』。観世太夫のところに納めた鬼女の面を「いやしいところがある」と真っ二つに割られてしまった能面師が、それがもとで自殺してしまう。その子供もやがて能面師になるが、やはり同じ観世太夫から鬼女の面の注文を受ける。夜中に周りをたくさんの蝋燭で照らして彫り上げた鬼女の面を観世太夫に届けると、その面が顔に貼りついて取れなくなってしまうという話。心にもなく、うっかり「いやしいところがある」と言ってしまったがために相手が深く傷ついてしまった。インターネットのこの時代でも、うっかりと書いてしまった事が相手を傷つけてしまう事がある。気をつけねば。 11月9日記 静かなお喋り 11月9日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |