客席放浪記

新宿末廣亭九月上席夜の部

2016年9月5日

 落語芸術協会の番組に、円楽党の三遊亭兼好が出ていると知って、これは観にいかねばという気になった。

 割引料金になる19時に行ったら、割引になるのを待つ人たちが何人もたむろしていた。兼好目当ての人が多いのかもしれない。

 高座では、仲トリの三笑亭茶楽『厩火事』を演っている最中。邪魔にならないように後ろの方の席で仲入りになるのを待つ。
 仲入りに入ったところで、前方の空いた席に移動。

 立川吉幸『たいこ腹』を実に巧みに演じる。ついこの春までは楽屋で前座仕事していたのに、今やすっかり真打の貫禄・・・って、あたり前か。

 ハッポウくんは一年前に[東洋館]で観ている。発泡スチロールの板を切り抜いて絵を描く。いわば寄席の紙切り芸の発泡スチロール版。注文で何でも切りますというので、ゴジラを切ってもらった。東京スカイツリーに襲い掛かるゴジラ。一年前の高座では、フクロウというお題で東京スカイツリーをつけていたのを憶えている。どうやらスカイツリーをつけるのは、ゴジラだけではないようだ。

 三遊亭兼好が高座に上がると、「待ってました!」の声が複数かかる。やはり兼好目当てのお客さんが何人かいる。
 兼好の『桃太郎』は、生意気な子供におとうさんが桃太郎の噺をしてあげるところが可笑しかった。「鬼ヶ島に着くと、鬼たちは酒を飲んで酔っ払っていた。青鬼は顔が赤くなり、赤鬼は飲みすぎたのか顔が青くなって倒れて死んでいた。酒瓶を見たら、「鬼ころし」。

 三遊亭遊吉『鰻屋』。テンポがあって持ちいい笑い。芸恊のなかでも、もっと評価されていい人だよなぁ。

 ボンボンブラザースの代演で、丸一小助・小時。まだ若いから元気ある。ハツラツとした太神楽曲芸は気持ちがいい。

 トリは桂竹丸。武将シリーズとでもいう地噺を得意にしている人。今日は『明智光秀』だ。
 「真田丸、五郎丸、竹丸。今年来ているのは、みんな丸が付くでしょ」
 「豊臣秀吉の幼名は日吉丸。私の師匠の名前は米丸。兄弟子が歌丸。そして私が竹丸。高貴な方はみんな丸が付く。だから同じ兄弟子でもヨネスケ。丸が付かないでしょ」

 仲入りから、吉幸、ハッポウくん、兼好と並ぶ流れは、やはり新鮮だなぁ。

9月7日記

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静かなお喋り

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