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客席放浪記

新宿末廣亭十月下席夜の部

2016年10月25日

 開口一番前座さんは、金原亭駒六『手紙無筆』。持ち時間が短いのか5分ほどで降りてしまった。昼の部ずいぶん押してたしね。前座修業頑張ってね。

 三遊亭めぐろの新作落語は『3つの袋』。『結婚式風景』などでも出てくる披露宴もの。披露宴前日に友人代表スピーチを代わってくれと頼まれた男のバタバタのスピーチ。よくある3つの袋を織り込んでくれと頼まれるが、とんどもない袋ばかり出てきて可笑しかった。

 ひびきわたるの漫談。今日はキセルは使わずトークのみ。「木魚というのは木でできていると思っていたのですが、あれ実は豚の骨でできているんですね。だから叩くとポークポークポークポーク」

 三遊亭歌奴『新聞記事』。「新聞読むとき、最初に何面から読む?」「一面から」「偉いね、政治欄からか」「いや、菊花賞」

 いつも新作ばかりの三遊亭丈二『牛ほめ』。珍しいねぇ。

 ここでトリの白鳥がやる三題噺のお題決め。お客さんから10個いただいて抽選。決まったのは「フィリピン」、「ハロウィン」、「お〜いお茶」

 三遊亭天どん『ツイッター泥』。ツイッターで旅行に出て楽しんでいるふりを装っている男の家に、そのツイッターを読んだ泥棒が入る。部屋で泥棒と鉢合わせした男は自分も泥棒だと嘘をつくが・・・。ネットで下手に旅行中だと書けないのは私も同じ。

 柳家一九は、キャベツと青虫の歌と『半分垢』。ああ、この噺聴いたの久しぶり。私はずいぶん前に、円窓で聴い事があるくらい。演じ手少ないのかな。

 柳家紫文の三味線漫談『長谷川平蔵市中見回り日記』。前のめりに倒れた本屋さんに、水商売の女が「おたくの本は硬い本ばかりね」、「ええ岩波(岩並)」。「これ浅草でやったときは、お客さん誰もわからなかったんですよ」。

 新宿末廣亭の番組は高齢の落語家がよく出るのが特徴。柳家小里んは68歳。『黄金の大黒』で長屋の連中が、かわりばんこに着る、つぎはぎだらけの羽織の細かな描写が可笑しい。

 柳家小燕枝は71歳。「私、浅草の千束に住んでましてね。周りはお風呂屋さんばかり。あの風呂屋は銭湯と違って460円では入れないそうですね。しかも入口で払って、またなかに入ってからも払うそうで・・・私はまったく知りませんが」。仲間の落語家のその手の風呂好きの名前をバラして、『権助提灯』

 仲入り後のクイツキが柳家一琴『平林』。このサゲは初めて聴いた。最後に読み方を聴く相手がなんと平林さん本人なのだが上方のサゲとも違う。オリジナルかな。

 すず風にゃん子。金魚の漫才。金魚さんの髪飾りはハロウィン仕様。

 林家彦いち『あゆむ』。バーに、いい話をしたり聞いたりする人たちが集まってくる。そこで語られる「いい話」は、どうやらほとんど彦いち自身が体験したり聞いたりした実話らしい。いくらでも長くできそう。

 柳家小ゑんは、自分の名前を残すにはどうしたらいいかというマクラ。電球の明るさにワット、放射能のシーベルトなどは人の名前。それなら笑いの大きさを測る単位として、小ゑんの『ぐつぐつ』を、1小ゑんと制定してしまったらどうかという話。「10小ゑんイコール1志ん朝とかね」。アハハハハ。それは落語を聴く人の主観が入ってしまうなぁ。噺は『ふぃ』

 アサダ二世のマジック。アサダ二世は、どうやらメインのマジックは毎回トランプ当てにしているらしい。今日のは一番単純なマジシャンズチョイスだけのトリック。

 いよいよトリは三遊亭白鳥の三題噺、「フィリピン」、「ハロウィン」、「お〜いお茶」。
 神戸のヤクザ、サブとリュウは、組の金三千万円を持ち出して貨物船に乗って高跳びする。着いたところはフィリピン。ふたりはスラム街の教会に身を寄せるが、その教会はフィリピンのギャングによって引き渡しを迫られていた。実力行使に出たギャングに、教会を守るため、サブとリュウは長ドスとヌンチャクで戦う。
 フィリピン、ハロウィンは、ほぼそのまま使ったが、お〜いお茶は予想もしなかった使われ方をして、笑いと拍手に包まれた。
 さりげなく入れてあったカボチャのことが、サゲでちゃんと回収されたのも見事。白鳥は物語の組み立て方が上手い。

10月26日記

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