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客席放浪記

新宿末廣亭十一月下席夜の部

2016年11月30日

 夜の部から入るつもりで、昼の部が終わる少し前に入ったら、昼のトリの三遊亭円馬が『王子の狐』をやっていた。うわーっ、最初っから聞きたかった!

 夜の部の開口一番前座さんは、メクリに喜之輔と出ている。「今年の春まで高校生でした。まだ18歳で〜す」。まだどことなくあどけなさが残る顔立ち。「工業高校を卒業しました。就職活動をしていた生徒が九割。進学の勉強をしていた生徒が一割。就職率100%、進学率100&・・・ボクを除くと」。小噺の『他行』をやったが、「他行」を「出張中」に変えていた。そうだよな、「他行」なんていう言葉は、今や死後だもんな。家に帰ってから調べてみたら、林家喜之輔。なんとなんと、紙切りの前座さんなんだそうだ。いやいや、噺上手いよ。二楽みたいな喋りも面白い紙切り芸人になって欲しいな〜。前座修業頑張ってね。

 講談の神田真紅は、なにやら雅楽の笛、篳篥を使って蛇を眠らせようとしてる男の噺。「東京コミックショーか!」という自身の突っ込みも入り、噺は瀬戸内海の海賊の噺へと繋がっていくところで、お時間。『海賊丸の由来』だそうだ。う〜ん、続きが気になる。

 カントリーズの漫才。相方いじりだけで終わってしまった。

 「笑三師匠91歳。歩くのが凄く遅い。東久留米に住んでいます。いつも昼席に出ています。始発に乗って出てきて、一席やって終電で帰ります。家の前まで来たら転んじゃった。外灯がテントウしてた」。桂米太朗『生徒の作文』

 桂歌若『粗忽長屋』。男が浅草で人垣が出来ているところに入り込んで、「早く始めろ! 客待たせるんじゃない!」、見世物と間違えてるのね。

 マグナム小林のヴァイオリン漫談。タップを踏みながらヴァイオリンを弾くネタで『証城寺の狸囃子』は初めて聴いた。

 三遊亭遊之介『子ほめ』。前座噺を真打がやると面白くなる。こんなに面白い噺だったのかと思うほどだ。「蛇は寸にして人を呑む」を忘れた男、「じゃは・・・ジャワカレーはSBか」 「ハウスだよ」

 「蝉は六年間、土の中でジッとしているんです。芸人にもいるんですよ、六年間日の目を見ないのが。そういうの何ていうかというと・・・セミプロ。三遊亭右左喜は円右がやっていた『銀婚旅行』

 北見伸のマジック。喋り一切なしというのも落語が続くといいものだ。

 夢太朗の代演に桂米福が出てきて『代書屋』

 仲トリは三遊亭遊三『時そば』。「太いね〜、これマカロニじゃねぇの、日本の。むくんだんだね。カッケ患ってるんだ」

 クイツキは宮田陽・昇の漫才。秋田出身の陽と、広島出身のの昇。いつもの日本地図ネタで笑わせて、今年リーグ優勝した広島カープの話題へ。「女性ファン増えたんだってね。カープレディ」「カープ女子だよ。ヤクルトレディみたいに言わないでくれ。オバサンじゃないか!」

 「PM2.5が酷いといわれる中国。オバマ大統領が中国訪問したとき。両国の国旗を交互に立ててオバマを迎えたそうです。中国の国旗、アメリカの国旗、中国の国旗、アメリカの国旗、中国の国旗・・・。間に星条旗(清浄機)が入っている。桂小南治『河豚鍋』

 「一日三回笑うと、一日寿命が延びるそうです。一ヶ月に百回笑えば一生死ななない」。桂伸治『たいこ腹』。「若旦那が盃の酒全部飲み干したら、なかに落とした金貨全部やるよっていうで飲んだら、金貨じゃなくて足袋のコハゼ。じゃあ銀貨だってまた飲み干したら少年探偵団のBDバッチ」。古いね〜。今、BDバッヂ知ってる人、少ないだろうな〜。

 ボンボンブラザースの曲芸。いつもどおり。

 この興業のトリは五日間が歌丸で、あとの五日を、円楽、桃太郎、小遊三、鶴光、そして今夜の桂米助が担当するという変則的な構成。米助がトリでなにをやるのか興味があったが、いつものマクラをちょっとだけでやってすぐに入ったのが、『もう半分』。まったくおちゃらけることなく、この怪談をじっくり口演してみせた。いや〜、見事! 米助がこんなネタを持っているとは思わなかった。聴きに来て儲けた気分。

12月1日記

静かなお喋り 11月30日

静かなお喋り

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