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客席放浪記

新宿末廣亭五月下席夜の部

2018年5月30日

 開口一番前座さんは、三遊亭あんぱん『小町』。この人を初めて見たのは2年前の今頃で、次が去年の2月。すごく一生懸命なんだけど型破りな高座で、どうなっちゃうんだろうと思っていたけれど、落ち着いて来た。前座修行頑張ってね。

 瀧川鯉丸『かぼちゃ屋』。与太郎がそんなにバカそうでないのがいいね。天真爛漫な生き方をしている与太郎。明るいな〜。

 青年団のコントは、銀行員と融資をお願いに来た中小企業の社長。銀行員は銀行員らしくないし、社長もいい加減な人物というのが可笑しい。

 5月から二ツ目に昇進した桂笹丸はいかにもうれしそう。
 『悋気の独楽』のお妾さん、カワイイ。

 桂文治。先代の得意ネタは『反対俥』と『源平盛衰記』。ところがあるときから演らなくなってしまったそうだ。なぜ演らないのてすかと訊いたら、「疲れるから」と言ったというマクラから『源平盛衰記』に入ったけれど、最初の一節だけで、そのあとは噺に戻らずに漫談。

 文治に「のこぎり漫談と交代です」と言われて出てきたマグナム小林。初めて聴くネタがあった。「蚊」、「蠅」、「ガラスを爪でひっかく音」・聞きたくな〜い。アハハハハ。

 円楽一門から三遊亭萬橘。「先日楽屋入りしたときに体調が悪かったら、前座さんから『顔悪いですね』と言われまして・・・。色つけろよ!」
 噺は『出来心』。明らかに芸恊の落語とは色が違う。こういう人がひとりでも入ると番組の流れが変わってくる。

 三遊亭春馬『つる』は大暴れで楽しい。

 北見伸ステファニーのマジック。ほとんど喋りが無い見せるマジック。寄席よりももっと大きなステージで観たいね。

 三遊亭遊吉。小噺をたくさん聴かせてくれたあと『鰻屋』

 仲トリが神田松鯉の講談。『天保六歌撰 河内山宗俊 卵のゆすり』。乾物問屋に買いに来た卵、ーを万引きをしたと見せかけて、それを強請のタネにする河内山宗俊。いいところでおしまい。連続読みで聴きたいな〜。

 笑福亭和光『ぜんざい公社』
 「小豆は北海道、砂糖は台湾、米はロシアから取り寄せます」「ロシアからもち米?」「いや、ハボマイ」
 「ぜんざいができるまでこちらの雑誌を読みながらお待ちくださいだって? ・・・anan」

 翁家喜楽喜乃の太神楽。父娘だそうだ。喜楽はもう80代だろう。ちょっともう手元も危うくなってきた感じだが、娘さんがうまくフォローしている。

 客席に小さな女の子がひとり来ていておとなしく見ていたが、三笑亭夢丸『狸の鯉』を始めたら、ケラケラとよく笑った。子供でもわかりやすい噺だものね。

 桂歌春は、いつもの入浴剤の話やら同窓会の話やら九官鳥の話をして、噺に入らず漫談だけで下りた。ちょっと時間が押してたんだろう。

 桧山うめ吉の俗曲。NHKの料理番組で流れているという『かんたんごはん』をやってみせてくれて、小唄『水の深さ』。『お清しゃもじ』、『箱入れ旦那』。立ち上がって踊り『藤娘』。

 トリは三遊亭笑遊。小三治が先代可楽から教わり、小三治から笑遊が教わったという『子別れ(上)強飯の女郎買い』。これは設けた気分。ホール落語でもなかなかかかることのない演目だ。『子別れ』はほとんど(下)しかかからない。せいぜい(下)を演るときに、(中)をかいつまんで前につける演者がときどきいるだけ。私は『子ほめ』は(下)だけというのはどうもできすぎている熊五郎が気持ち悪くて、(中)を一部でもいいから入れるべきだと思っているが、やっぱり(上)も必要。上中下全てで、まったく違う熊五郎が見られる。この(上)の熊五郎は破天荒な性格で面白い。いや〜、久しぶりに(上)を聴くことができた。意外と(上)を持っている人、少ないんだろうな〜。

5月31日記

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