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客席放浪記

粋歌の新作コレクション2014夏

2014年8月1日
内幸町ホール

 開口一番は、三遊亭わん丈。実家は滋賀県の西のはずれ、京都寄りのところで、東京に出てきて最初に住んだのが志木という東京寄りの埼玉南部だったそうで、そんなマクラから『國隠し』。滋賀生まれでも京都、埼玉生まれでも東京と言ってしまう夫婦の噺。

 今回の三遊亭粋歌の新作落語の会は三遊亭白鳥作品を三席。「白鳥師匠の噺は体力的に三席はキツい」と言いながらも、一席目は『バリバリ女子大生』。バリ島に遊びに来た太った女子大生二人組が、現地の怪しげな男にガネーシャの置物を売りつけられる噺。白鳥が演るよりも、やはり女性の粋歌の方が女子大生らしさが出ている。インチキバリ人の男はやはり白鳥の方が、いかにもな感じだったが。

 二席目は『恋するヘビ女』。これもヘビ女役がずっとリアリティがあっていい。白鳥よりもヘビ女の話し方がゆっくりしている。白鳥の落語はだいたいテンポが速い。下手すると付いて行かれなくなるほど。それだから何席も続けて聴くと疲れてくる。今日は粋歌が三席に、白鳥自身もゲストだから四席。もうお腹いっぱいになりそう。

 その三遊亭白鳥は、鈴本での三題噺から生まれた『カバライ菌』。過払金という題から、カバライ菌を発想して済ましてしまわないで、マチ金の取り立てに来る男と、上野動物園でカバやライオンに感染したカバライ菌を組み合わせたところに、白鳥という人の創作力を感じる。しかもクライマックスは感動的な仕上がり。凄いね。

 粋歌の三席目は『奥山病院奇譚』。これも怪談とみせかけて、最後は感動作へと持っていく。基の噺を聴いてないのだが、これおそらく粋歌は、主人公を男から女に変えたのだろう。女性が山奥の病院の警備員になるという設定はちょっと苦しいが、それさえクリアーになれば、粋歌が演るなら女性にした方がいいのだろう。明るいラストもいいね。

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