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客席放浪記

この落語家を聴け! シーズン2最終回スペシャル

2015年10月7日
北沢タウンホール

 開口一番は三遊亭わん丈。そろそろ二ツ目昇進が近いらしいが、さすがに前座修業生活に疲れてきた様子。もう少しだから頑張ってね。ネタは、わん丈が真打になって大の売れっ子になっているという架空世界の噺『父子の胸中』。めざせ、明日のスター!

 立川笑二は、小学生時代の初恋の女の子のことをカミングアウトしたマクラが面白い。この人、談春に弟子入りしようと思っていたところで、談笑の存在を知り、結局談笑の弟子になった人。いかにもな談笑の改作落語のような持ちネタが多いらしいが、今日はあまりいじっていない『蜘蛛駕籠』。それでもアラクマさんが韓国語の歌を歌いながら登場したり、いろいろとひねった笑いを入れている。まだ二ツ目になって一年くらいらしいが、かなり達者な喋り。この人は期待できそうだ。

 柳亭小痴楽は五代目痴楽の息子。かなり現代的な感じのする青年。けっこう以前から無茶なことやっていたようで、最初に弟子入りした先代桂文治から破門されたそうで、しくじり話が山のようにあるらしい。一度それも聴いてみたいものだ。今日は『明烏』。噺はまったくといっていいくらいいじっていなくて、キャラクター作りの面白さで聴かせてしまう。自分のタイプは多助と源兵衛だというが、どうしてどうして若旦那や遊郭の女将など、実によくキャラが立っている。

 仲入り後、三遊亭粋歌。今までの三人が、マクラで青春の甘酸っぱい話を語ったのに反応して、自分はテレビと深夜ラジオが好きなサブカルオタクだったということを語る。ところが噺の方は、進学を前にした、田舎の高校三年生のタカシくんとアヤちゃんの会話が繰り広げられる『すぶや』。地元の国立大学志望のタカシくんは、東京の私立大学へ入って、大都会でのキャンパスライフに憧れているアヤちゃんを引き留めようとする。ところが・・・。粋歌は東京出身だそうだが、いかにも地方の高校生の考えそうなことが描かれている。渋谷のことを今時、すぶやなんて言う地方の高校生がいるとは思えないが、それが落語なんだろう。オチが面白い。これって、いかにも現実にもありそう。

 このシリーズは、落語の後に広瀬和生が出演者にインタビューをする。やはり広瀬和生は人から話を引き出すのが上手い。いつしか、粋歌、小痴楽、笑二、それそれ所属する協会の裏話がバンバン飛びたすことになった。ちょっとインターネットには書けそうにないが。アハハハハ。

10月8日記

静かなお喋り 10月7日

静かなお喋り

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