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客席放浪記

粋歌の新作コレクション2017 バレンタインスペシャル

2017年2月14日
内幸町ホール

 開口一番の前座さん春風亭きいちは一之輔のお弟子さん。『芋俵』。この人ももう前座とは思えないくらいしっかりした喋り方。最近の前座さんは、みんな上手いねぇ。前座修業頑張ってね。

 三遊亭粋歌の一席目は、以前に一度聴いたことがある『すぶや』。渋谷らくごに最初に出た時に作った噺だそうだ。噺の大部分が、東京での学生生活に憧れる田舎の高校三年生の会話で進行する。こんな高校生、今時いないよという気がするが、それが落語。高校生の会話が終わると場面転換して、オチに繋がる。よくできた噺。

 二席目は、三遊亭天どん作の『初めての確定申告』。確定申告にやってきた女の職業は殺し屋。殺し屋がその収入を申告して税金を納めるとは思えないのだが、なぜか可笑しい。いかにも天どんらしい噺。

 NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』の取材クルーが、春風亭一之輔を追いかけて会場まで来ていた。今やすっかり人気者だ。その一之輔は『千早ふる』。とてつもなく自由な『千早ふる』。御隠居さんのところへ行くと、録画して溜まった朝ドラを消去している。NHKスタッフがいるなか、現在放送中の朝ドラをディスる! 千早ふめ歌の説明にデビルマンやら青汁、果ては『プロフェッショナル』まで飛び出して、やりたい放題。こんな自由で可笑しな『千早ふる』は初めてだ。

 粋歌三席目は、その名も『プロフェッショナル』。大手製パン会社に入社した、意識高い系の新入社員が主人公。新人研修でパン工場の生産ラインでベテランパートのおばさんたちと組まされる。彼にはこのおばさんたちが、いい加減な仕事をしているようにしか見えないのだが、実は何もわかってないのは自分だったことに気づかされるという感動的な噺。おばさんっていじわるだから、なかなか仕事のノウハウを教えてくれないんだよね。

2月15日記

静かなお喋り 2月14日

静かなお喋り

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