鈴本演芸場十一月下席夜の部 2012年11月27日 開口一番前座さんは、古今亭半輔で『のめる』。頑張ってね。 三遊亭亜郎は『トイレ革命』。公衆トイレの評判が悪いので、自治体が改革に乗り出す噺。新しい公衆トイレは、まるでファースト・フードのサービスのように愛想がいい。でもそんなトイレ、却って気持ち悪いかもね。 ダーク広和のマジック。ファンカードという、技術で見せるトランプ芸を披露して、最近はロボットでもこれが出来ると語り、「それではロボットが出来ないものを」と、いろいろ見せてくれる。ロボットが出来ないのはダーク広和みたいに話芸で笑わせたり、ミスリードしたりすることじゃないかなぁ。 東京で桂文枝の新作落語をよく演る柳家はん治。今夜は『ぼやき居酒屋』だ。はん治独特の、粘るような口調がこの噺に合っていると思う。 林家きく麿は『パンチラ倶楽部』。パンチラを目にするのが何より楽しみという、こっそりと変わった趣味を楽しんでいたらしいお父さんを捜して辿り着いたのは、パンチラ倶楽部という喫茶店・・・。私はやや引いてしまったが、若い女性たちがけっこうケラケラ笑っている。今の世代は、こういうの何とも思っていないらしい。いい時代になったなぁ。 和楽社中の太神楽。今夜は和楽は欠席で、小楽、和助、小花の三人。こちらも世代が変わってきたのか? 柳家小ゑんは『レブリカント』。酔っぱらうと、何でも持って帰ってきてしまう学生。目が覚めるとカーネル・サンダース人形を持ってきてしまっている。それをこっそりと返しに行く噺。公衆電話ボックスに入れてしまうのだが、これがサゲに繋がっていく。公衆電話ボックスは最近数が減っているからタイヘンだよなぁ。スーパーマンだって着替えるのに苦労するだろうし。 三遊亭白鳥は『シンデレラ伝説』。随分昔にかけていて最近またよく演るようになっている噺。それも相変わらず少しずつ変化しているのが白鳥らしい。東京スカイツリーを入れ始めたのはいつからなんだろう。 中入り後は、ペペ桜井のギター漫談。いろいろとネタを持っている人だが、今夜はすっかり音楽講座モード。四小節ごとで区切られる曲が多い中、「これはちっょと違うんですよ」と実例を持ち出したり。勉強になるなぁ。 春風亭百栄は『露出さん』。露出狂の男が、いつもやっているうちに街に馴染んでしまっている噺。用水路に落ちた小学生をいち早く助けて表彰状を貰ったり。「一番飛び込みやすい恰好をしていたものですから」って、この笑いの味わいが百栄らしい。 林家正楽の鋏試しは、いつもの相合傘だが、圓丈が似顔で切り込んである。お客さんからのお題は、ガーコン、昇り竜、西郷隆盛。 トリは三遊亭圓丈で『ぐつぐつ』。小ゑんの作った名作だが、基本は変えずに大きく作り直した圓丈版。小ゑん版ではイカ巻きときんちゃくの噺にしていたのをチクワときんちゃくに変え、お客さんをひとり客ふたりにして、この客とおでん屋の主人の会話を大きく膨らませて持ってきている。前半のスイカカードの男の噺で笑わせ、後半の魚座の男の噺でしんみりとさせる。私はこの後半の噺が好きで、秘かに『魚座のふたり』と名付けている。サゲも犬好きの圓丈らしくなっているのがいい。 11月30日記 静かなお喋り 11月27日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |