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客席放浪記

鈴本演芸場十二月上席夜の部

2012年12月4日

 仲入りの時間を狙って入場。

 アサダ二世のカード当ては、いくつかパターンがあるが、今夜のは複合したタネではなくマジッシャンズ・チョイスひとつだけのタネで見せるストレートなもの。この人がごちゃごちゃいろいろとなことを言ってる時が一番注意しなければいけないところ。あいかわらず上手いよなあ。

 入船亭扇辰は、楽屋のネタ帳を持って高座に上がる。池袋演芸場との掛け持ちで、今到着ばかり。ネタ帳の説明をしながら、被ってないネタを探す。それで始めたのが『善光寺の由来』。ここから『お血脈』に本来は入るのだろうが、時間が無いのか、なんとも、ためになるお話をしておしまい。あらあら。

 柳家小菊の粋曲。ヒザで三味線や都々逸を聴くのはいいもんだ。
「初手は上手で漕ぎ出す船も 風が変われば命がけ」
「惚れた弱みを思っています 会わない辛抱会う苦労」
 ようよう!

 トリはネタ出しのしてある五街道雲助『掛取万歳』。この時期はこれを聴かないと年を越す感じがしない。「好きな事には心を奪われる」 借金取りに来る人の好きな事に話を合わせて、相手をいい気持ちにさせてお引き取り願うこの噺、いささか時代背景が古いので伝わりにくくなっているので、現代に合わせた趣向を持ち込む演者も多いが、雲助のは昔ながらのもの。狂歌好きの大家さんから始まって、喧嘩が大好きな魚屋、義太夫好きの大坂屋の旦那、芝居好きの酒屋の番頭、そしてこれ、三河万歳の大好きな三河屋さん。これが入らないと『掛取万歳』にならない。芝居はまだしも、義太夫、三河万歳まで披露しなければならないこの噺、かなりの引き出しを持っていないとできない噺。久し振りに三河万歳のところまで聴けて、得した気分。これで年が越せそうだ。

12月6日記

静かなお喋り 12月4日

静かなお喋り

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