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客席放浪記

鈴本演芸場二月上席夜の部

2013年2月9日

 サラから観たいと思っていたのだが、ついつい家を出るのが遅くなってしまった。それでもいつどこからでも入れるのが寄席のいいところ。
 和楽社中の和助がバチふたつと毬ひとつでジャグリングをしている最中。あら、珍しくバチを取り落してしまった。それを和楽が「今のはバチを置いたところでございます」 なるほど、そういうフォローを入れるんだな。

 三遊亭歌奴『宮戸川』。家から締め出されて、「私も一緒に霊岸島のおじさんのところへ連れて行ってください」と花ちゃんから言われた半ちゃん。「あなたみたいな、きれいな人連れてったら誤解されます」と言うと、「かまいません。私、半ちゃんのことが好きなんです・・・50番目くらいに」 上げて下げて。50番目じゃ絶望だね。かわいそう。

 どうやら三遊亭白鳥は寄席に出るときの定番ネタに『シンデレラ伝説』を加えているらしい。誰でも知っている童話、『三匹の子豚』『赤ずきん』『金の斧銀の斧』そして『鶴の恩返し』などをベースにしているから、初めて白鳥を聴く人でも、とっつきやすいということもあるのだろう。それらを小噺のようにして繋げていく。この噺を作ったのは随分と前だが、こういう風に作り直されて寄席で受けるネタになったのだから凄いや。

 ペペ桜井のギター漫談。聴くたびに少しずつ違うネタが入っている。今日も最後の方にチラッとそんなネタが入っていたが、あれ、試しに入れてみたのかな?

 宝井琴調の講談『大岡政談 人情匙加減』。名奉行大岡忠相のお裁きは面白いけれども無理矢理。今の裁判制度の感覚からすると、「それじゃだめでしょ」と思うけれど、物語としてはこれでいいんだね。

 古今亭菊之丞『死ぬなら今』は落語家の名前がたくさん出てくる。閻魔大王の顔はというと、馬風と安岡力也を混ぜて文左衛門をふりかけたよう。そりゃ怖そうだ。鬼たちの噂話ではカラオケに行くと、顔の長い男が『俵星玄蕃』を歌っているらしい。おやおや、この人はまだ生きてるんじゃないの? アハハハ。

 ホームランの漫才は、ディズニーランドのショウに出た話から結婚式のネタ。「けっかんはありません」「血管がなかったら血が出ないでしょ」「いや、けっかんはあります」「欠陥があるから結婚できないんだ」「いや、けっかんはありません」「血管がなっかったら血が出ないでしょ」「いや、けっかんはあります」「欠陥があったら結婚はできない」「いや、けっかんは・・・」いつまでたっても終んないよ。

 橘家文左衛門『のめる』。口癖の「のめる」「つまらねえ」を言ったら罰金というルールを作ったふたり。「つまらねえ、と言ったら一円だからな」「客席でも、つまらねえというやつがいるんだ」 おっと、罰金払わされたらたまらねえ。

 伊藤夢葉のマジックは喋りまくりマジック。(手品を)やるとみせてやらなかったり、やらないみせて見事に決めてみたり、またやるとみせておちゃらけにしたり。

 トリの春風亭百栄は、たしか去年『せめ達磨』で観た『キス研』。あのときは、これは寄席ではかけにくいだろうと思ったが、どうしてどうして面白い。夢中になってキスの練習をする高校生の男の子の様子をやってみせる。顔を歪ませてキスをしたりウインクをしたりする表情が可笑しくて女性にも受けている。顔芸で見せる一席。これは楽しいや。

2月10日記

静かなお喋り 2月10日

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