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客席放浪記

鈴本演芸場四月中席昼の部三日目

2014年4月13日

 日曜の昼とあって、お客さんの入りも多いが、出演者の代演、出番の入れ替えも多い。

 開口一番の前座さんは、柳家まめ緑。女流。最近どんどん増えているよなぁ。『桃太郎』。前座修業頑張ってね。

 春風亭朝也。一之輔の弟弟子。一朝は、いい弟子に恵まれてるねぇ。朝也も声がよくて聞きやすいし、芸風も明るい。『壺算』、瀬戸物屋の主人の様子が可笑しい。

 鏡味仙三郎社中の太神楽、今日は、仙四郎の傘回しと五階茶碗、仙三郎の土瓶、そしてふたりで花笠の取り分け。

 本来は仲トリのはずの柳家三三がこの位置。ということは、一番で出て、このあとすぐにどこかで出番があるのだろう。あとで『東京かわら版』を見たら、すぐ近くの黒門亭と掛け持ちで、さらに草加でも落語会がある。忙しいねぇ。ネタの『一目上がり』のように、ひょいひょいと飛んでいくね。

 「美人薄明という言葉の意味は何だろうって話になりまして、これは美人は酔っぱらっても吐かないことだろうって。美人吐くめい」。柳家さん喬は、こんなマクラから自然と『短命』へ。この人が演ると、この噺も、あまり臭くならない。どこか品があるんだなぁ。

 ロケット団の漫才。この人たちもパターンが確立されてて、四字熟語→時事ネタ→山形弁。それをその時に応じてアレンジを変えている。だから、毎回同じような漫才ながら、いつ聴いても面白いんだよな。

 柳家小里んは、先代小さんの芸風を、かなり受け継いでいる人。今日の『碁どろ』も、ときどき、はっとするほど先代小さんを髣髴とさせる口調や仕草が見られた。この人の高座が好きなのは、そういう瞬間があるからだろうな。

 五明楼玉の輔『宮戸川』は、お花ちゃんがかわいい。霊岸島のおじさんのところに行く半七を追い抜いてしまい、「小出のおじさんに、駆けっこ習ってるの」 おじさんの家に着いてからも積極的なお花ちゃん。最後のエロチックな描写は、玉の輔、かなりサービス過剰! アハハハハ。

 林家二楽の紙切り。お客様からのお題が、アポロ11号。月に着陸した宇宙船と宇宙飛行士。「このあと、アポロ12号というお題は止めてくださいね。同じですから」。次のお題、花魁は切り慣れているらしく、スイスイと。

 仲トリが五街道雲助『代書屋』。はぁ〜、この師匠、こんな噺も持っているんだぁ。代書屋の苦虫を噛み潰したような表情がいいね。

 江戸家小猫の動物ものまね。おとうさんや、おじいさんがやらなかった動物に挑戦しているのがいい。もとの動物の声を知らなくても「へぇ〜、そういう鳴き声なんだぁ」という興味が湧いてくる。サイなんて鳴くとは思わなかったもの。シマウマか゜ほかの馬と鳴き声が違うなんてのも知らなかかった。ワオキツネザル、テナガザルの鳴き声というのも初めて。

 春風亭百栄『寿司屋水滸伝』。中途半端な修業しかしてこなかった寿司職人たちの物語。そんなバカなと思うけど、これがやけに可笑しいんだな。

 隅田川馬石『反対俥』を演るというのも意外だった。案外、最初に出てくる病み上がりの車引きが可笑しいのと、威勢のいい車引きもアスリートっぽくて面白い。

 三増紋之助の曲独楽。いつも元気だね。

 トリは橘家圓太郎。女ってメゲない、反省しないというマクラから『星野屋』。こういう噺聴くと、ホント、マクラの意味がわかる。女って、したたかなイキモノだという気がする。そこんとこいくと男はダメだね。アハハ。

4月14日記

静かなお喋り 4月13日

静かなお喋り

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