鈴本演芸場四月中席昼の部千秋楽 2014年4月20日 開口一番前座さんは、林家扇兵衛で『牛ほめ』。前座修業頑張ってね。 林家たけ平を聴くのは一年ぶり。この人、j二ツ目だけど、いいねぇ。「今、年を取ってから海外に移住する人が増えてるそうですけど、死ぬ間際になると、また日本に戻ってくるそうですね。冥土・イン・ジャパン」。こんな感じのダジャレ話のあと、おばさんウォッチング話。そして短い時間で『秘伝書』。時間の配分をうまくして、お客さんに印象付ける。いいねぇ。 鏡味仙三郎社中。今週も仙三郎、仙四郎。仙四郎に毬と枡で傘回しをさせて、仙三郎が茶碗の傘回し、仙四郎の五階茶碗のあとに仙三郎の土瓶、そして花笠の取り分けって、これも配分がいいね。 橘家文左衛門が『手紙無筆』。この噺も今ではありえない噺でリアリティがなくなっているのだけれど、文左衛門のやる字の読めないアニイの開き直り具合は、なんとも可笑しくて、「これはありだよなぁ」と思えてくるから不思議。 春風亭一朝の『肥瓶』は、サゲがいいな。家見舞いに来たふたりが、ご飯を御馳走になって、おいしいおいしいと食べる。「このご飯はどの水で炊いたんですか」と恐る恐る訊くと、「持ってきた水瓶の水だ」。ふたりの表情が変わったのを見て、「おまんま、喉に詰まらせて、目を白黒させてるよ。おっかぁ、水を一杯持ってきてやれ」。これ、きれいなサゲだなぁ。 すず風にゃん子・金魚の漫才。にゃん子さんって、いつもネタにされるけど、ホントにニューハーフみたいな顔してる。金魚さんに、「首に巻いたリボンは、喉仏を隠しているんだろう」と言われて、「取りゃいいんでしょ」と外せば、金魚さんから、「男らしい!」 ハハハハハ。 五明楼玉の輔は、先週と同じで、やけにエロチックな『宮戸川』。今日は客席に子供も多く、「今日は、これから先は子供がいるからできない」でサゲていた。 五街道雲助の『粗忽の釘』。この師匠のこういう軽い噺、好きだ。釘を打ち込まれた相手に、「お宅は、あそこに箒をかけますか」でサゲてた。とぼけた味わいで、このサゲもいいな。 柳家小菊の粋曲。定番の『蛙ぴょこぴょこ』から、『チッャキリ節』。都々逸をいくつかと、『さのさ』。 三遊亭金馬も85歳か。落語協会では最高年齢。「落語家になって73年。寄席の出演者を見たお客さんが、『金馬だよ、懐かしいな』と言ってくれるのはうれしいんですが、そのあと『あいつ、まだやってんだ』とくる」。酒呑みのマクラから、十八番(オハコ)の『親子酒』。いつまでも聴いていたいね。 キセルを使って音を出すひびきわたるは、今日はキセルなしでフルート片手。『鶴の恩返し』ネタを挟みながら、いつもの漫談。 春風亭百栄は『桃太郎後日譚』。すっかり寄席でも新作派の位置を掴んだみたいだ。 春風亭一之輔は鉄板の『初天神』。どんどん進化している。「赤いのは女の子みたいだぁ? 高崎のだるまなんてヒゲ生えてるぞ。サンタクロースなんてジジィだけど、これ以上ないってほど赤!」「周りに手を振りながら歩くんじゃない! そうやって歩くのは日本で一家族だけでいいんだ!」 曲独楽の三増紋之助も先週通り。末広→輪抜け→真剣刃渡り切っ先止め→羽子板→風車という流れは、緩急がついて上手い配分だな。 トリの橘家圓太郎は『らくだ』。屍人のかんかんのうは、「青い汁が飛び散った」という表現が、真に迫って怖い。やや時間が押したらしくて、屑屋さんの独白がやや短めだったのが惜しかったなぁ。それにしても落語に出てくる屑屋さん、『らくだ』といい、『井戸の茶碗』といい、災難だね。 4月21日記 静かなお喋り 4月20日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |