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客席放浪記


鈴本演芸場九月上席夜の部

2014年9月3日

 三遊亭円丈主任興行。行ってみたら円丈休演で、代バネは三遊亭白鳥だった。別に不満は無いので、そのまま入場。

 開口一番は柳家小はぜ『金明竹』。出だしが長いので金明竹まで行くのかなぁと思っていたら、貸傘のくだりをバッサリとカット。なるほど、こういうやり方もあるんだね。前座修業頑張ってね。

 三遊亭ぬう生。定年になったお父さんの噺。これ、以前聴いた事のある『定年ホスト』かなと思って聴いていたら、別の噺『定年ノート』だった。定年になって、昔のノートを見ていたら、定年になったら何をしたいかということか書かれている。その中に海外旅行がしたいというのがあって、それを実行しようとバスポートを申請に行こうとしたら・・・という噺。定年ネタっていくつ持っているんだろう?

 伊藤夢葉のマジック。ずーっと喋りまくりでマジックを進めていく。カード当てもシンプルなんだけど、喋りで引っ張って行ってしまう。伊藤一葉の弟子で、弟子入りして数年で師匠は1979年、45歳の若さでなくなってしまうったそう。あれから35年。もう師匠の年を遥かに超え、還暦も過ぎたらしい。鮮やかな寄席のマジックだね。

 林家彦いちが、高座の上り口で気合を入れている気配が伝わってくる。この人は、まさに高座に飛び出てくるといった出方をする。学校寄席のマクラから、『熱血怪談部』へ。この人の噺はすべて気合を入れないとできない(笑)。

 三遊亭天どん『ひと夏の経験』。これぞちょうど今の時期の噺。夏休みが終わって、二学期に登校してみれば、女子たちがひと夏の経験を終え、すっかり変わっていたという噺。これ、やり方によってはロマンチックな噺になる題材のようだが、そこは天どん。ふざけ倒す。最後は夏が終わってみれば花魁になっていた女子もいて、鳴り物も入れてしまう。ぶっとんだ噺だねぇ〜。

 ホンキートンクの漫才。そういえば、落語協会の漫才は、ゆめじ・うたじ、のいる・こいるの双璧がいなくなって寂しくなってしまった。「ゆめじ・うたじ、42年もコンビ組んでらして、“息が合わない”で解散ですからねぇ〜」。Wコロンも仲悪いというしことももらしてたが、そういうところを見ると、このコンビは仲がよさそう。ヘビのネタ、面白い。

 前座さんの『金明竹』以外、古典がかからなかったのが、ここで春風亭一朝『家見舞い』。この人は声がいいんだな。上げて下げて、リズムがあって、音楽を聴くような楽しさがある。何回でも聴きたくなるような。

 仲入り前の柳家喬太郎の持ち時間は20分。その大半15分が学校寄席のマクラ。どうするんだと思ったら6分くらいで『午後の保健室』。ああ、この噺、そんな尺なんだ。

 仲入り後、ペペ桜井のギター漫談。おっ、また新しいネタが入ってる。JRの駅ごとの音楽。面白い。

 もうひとつの古典落語が古今亭文菊『あくび指南』。夏のあくびの手本を見せてもらって、「難しいでなすぁ・・・もういっぺんやってもらえませんか?」「やってもいいですけど、目の前であくびされるとキツい」。アハハハハ、そりゃそうだ。でもそのくらい気怠い感じが出ていたね。

 鏡味仙三郎社中の大郭の太神楽。仙四郎の傘回しに、仙三郎のいぶし銀のどびん、そして花笠の取り分け。流れるような鮮やかさ。

 トリの三遊亭白鳥が、なんと『隅田川親子』を持ってきた。これ、皇室ネタで電波にはちょっと乗せられないものなのだが、これを自分の会ではなく、誰が聴いているかわからない寄席にかけちゃうところがこの人らしい。それでもこれって、いわば白鳥版『ローマの休日』なんだよね。こういう落語が自然と受け入れられないと、いつまでたっても皇室と一般社会がぎくしゃくしてしまうことになる。皇族の人にぜひ聴かせてあげたいなぁ。キンミヤの焼酎でホッピーなんて言ってもわかんないだろうけど。『目黒のさんま』のパロディーはわかるかなぁ〜。

9月4日記

静かなお喋り 9月3日

静かなお喋り

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