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客席放浪記



鈴本演芸場六月中席夜の部二日目

2016年6月12日

 開口一番、前座さんは柳家小かじ『一目上がり』。前座修業頑張ってね。

 古今亭駒次は鉄道ネタの新作が多い人だが、今日は、以前にも一度聴いたことのある、女性同士のお喋りを描いた『ガールトーク』。鉄道ネタだとマニアックと受けとられがちになりそう。寄席ではこういうネタの方が受けるのかもね。

 鏡味仙三郎社中の太神楽。千三郎の土瓶は、いつ見てもすごい芸だと思う。

 春風亭正朝『替り目』、奥さんがおでんを買いに出たあとで、奥さんヘの感謝の念を、こっそり口にする酔っ払いの亭主。「この先、寝たきりになったら面倒見てもらわなくちゃならないんだから、頼みましたよ」。う〜ん、切実。

 柳家さん喬『そば清』の清さんの、そばの食べっぷり、名前通り済々としている。「あの腹の中、どうなってるるのかな? 切ると、富士そばって書いてあるんじゃないかな」

 柳家小菊の粋曲。『蛇がニョロニョロ』、『チャッキリ節』、『さのさ』、『両国風景』。あら、珍しや、今日は都々逸はやらないのね。

 金原亭馬生の代演、柳家さん助。「仙台のお寺に呼んでもらって一席やらせていただくことがあるんですが、先日 Wikipedia を見たお坊さんから電話がかかってきました。『たいへんです。さん助さん、Wikipedia では5年前に死んだことになってます』。『ああ、それは先代のことですよ』 『えっ、仙台にもさん助さんという咄家がいるんですか』って、なんのことだかわからなくなっちゃってる」
 話は『熊の皮』

 五街道雲助『代書屋』。「あの、ツベルクリンが来た時の次の次の年」「ツベルクリン?」 「あのドイツから空飛んできたやつ、ツベルクリン」 「それを言うならツェッペリン。あれは昭和4年だから、次の次の年っていうと昭和6年」。時代背景がわかる面白い台詞。

 仲入り後、ホームランの漫才。「マスゾエさん大変なことになってますね。ひょっとすると都知事辞めさせられて、また選挙のやり直しになるかもしれない。でもあの人のことだから、また立候補するかもしれないよ」 「私は絶対に票入れないね」 「ちょっと待て、お前どこに住んでいるんだっけ」 「千葉県」 「じゃあ、投票できないじゃないか。あっ、オレは神奈川県。どちらも投票できないんだ」。ネタは昔のテレビドラマの主題歌と流行歌。

 古今亭志ん陽『猫と金魚』。この噺、この恍けた味わいがこの人に、よくあっている。隣の家の猫、強いね。

 せっかく最前列正面を確保できたので、林家二楽に何か切ってもらうことに。マスゾエ疑惑で名前が出て、宣伝効果大きかった「ホテル三日月」をリクエスト。楽屋に「お囃子は、♪ゆったり たっぷり の〜んびり 旅行けば 楽しい ホテル三日月」でお願いします」って、短すぎてお囃子にならな〜い。それで出来上がったのが上の方に載せた作品。ふたりの男が露天風呂に入って三日月を見ているところ・・・ってやっはり逃げられちゃったか。

 トリは隅田川馬石『中村仲蔵』。仲蔵が、浅草柳島の妙見様に何か定九朗のアイデアが出ないかとお参りに行くくだりがある。「私もこの近くに住んでおりまして、壁にぶつかると良く拝みに行くんですよ」。わかるよなぁ、この気持ち。おそらくこの噺は雲助直伝のものだと思うけれど、難しい噺。よくここまでに仕上げたという、いい出来だった。妙見様のおかげかな。

6月13日記

静かなお喋り 6月12日

静かなお喋り

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