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客席放浪記

鈴本演芸場七月上席夜の部
落語の仮面祭り


2016年7月2日

 三遊亭白鳥の『落語の仮面』全五話のうち、まだ聴いていない第二話『嵐の初天神』が聴きたくて、第二話をネタ出ししている今日、鈴本に足を運んだ。土曜日であったこと、『ガラスの仮面』の美内すずえの愛読者と思しき人も多く、客席は満員の盛況。

 開口一番前座さんは、柳亭市朗『子ほめ』。前座修業頑張ってね。

 林家なな子。腰痛で医者に行ったら、それは座骨神経痛だとの診断。「何より正座がいけない。下手すると寝たきりになる」と言われたそうな。うむむむ。噺は『天失気』。なな子、医者からは天失気はあるかとは聞かれなかったのかな?

 ストレート松浦のジャグリング。曲芸と曲芸の間に喋りが入る。故郷の父親の話など。これといってオチはない。「落語と違って、曲芸は落としてはいけません」。なるほど。

 寄席はネタがついてはいけないのはもちろん。同じネタをやってはいけないことになっているのだが、高座に上がってしぱし長いマクラを話していた林家彦いち。「前座さんから、『初天神』を知らないお客さんがいるといけないので、誰かにやってもらいたいのですが、頼める人があなたかアサダ二世先生しかいないということで、私がやります」と『初天神』を始めた。それもマクラに時間が取られて、残り時間が短いから、かなり乱暴。「さあ金坊、初天神に行くぞ。だけど骨格だけだからな」「買って!」「全部すっと飛ばしてそこからか!」「買えよ!」「てめえ、誰が買うか!」「このやろう、買えって言うのに!」。凄いね。ウハハハハハハ。

 彦いちの高座があまりに凄いので、次に上がった入船亭扇遊が「まあ、みなさん落ち着きましょう」と客席を落ち着かせてから『たらちね』をきれいに演じてみせた。

 アサダ二世のマジック。トランプ当て。お客さんにマジシャンズチョイスでカードを選ばせようとして、見抜いちゃった客が別のものを引こうとしたのでごまかしている姿を初めて見た。しかしそこからが面白かった。今日は壺の中にいる蛇がトランプを咥えてくるという趣向。なにか電気的な仕掛けがありそう。

 柳亭市馬『かぼちゃ屋』。「このかぼちゃ、どこで取れたんだ?」「知らない」「山だろうな」「エベレスト」「エベレストなわけないだろ」「サンチ偽装」。

 三優亭天どんが仲トリ。「トリで白鳥アニさんが『嵐の初天神』演るということで、彦いち師匠が『初天神』演りまして、席亭さんに『ぼくも初天神演っていいですか?』と訊いたら、『勝手にしろ』というので、これから『初天神』演ります」と、改作『ひよこ初天神』
 天神様に行く前、家を一歩出たところで「飴玉買って」が始まる。隣の家でなぜか飴玉を売っている。それが実は前振りで、次にカラーヒヨコを買ってくれと言い出す。と、本当にカラーヒヨコ屋かいる。飴玉と一緒で、一匹一匹取り上げて、そのたびに指を舐める。「赤は毒々しいから嫌だ? これみんな毒みたいなものだ」。

 仲入り後、柳家小菊の粋曲。『キンライ節』『かえるぴょこぴょこ』『炭坑節』『両国風景』。

 今日は彦いちと天どんの『初天神』に持っていかれた形だが、扇遊、市馬、そしてここでも入船亭扇辰が締めた。『悋気の独楽』。ちょっとホッとする。アハハハハ。

 林家楽一の紙切り。注文は『猫の皿』。そして『紫の芋の人』・・・これは『落語の仮面』第一話を聴いてないとわからない。

 さあいよいよトリ。三遊亭白鳥『落語の仮面 第二話嵐の初天神』。上野公園での、立川流の立川あゆみとの出遭い。そして因縁の『初天神』対決。『初天神』の子供は腹を空かせて飢えた子供。団子を買ってくれと叫ぶのは怒りの表現だったとは!! アハハハハハハ。そう来たか。

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