鈴本演芸場七月下席夜の部 ウルトラ喬タロウ 2016年7月27日 開口一番前座さんは、三遊亭歌むいで『牛ほめ』。前座修業頑張ってね。 三遊亭窓輝は1970年生まれだそうだから、『ウルトラマン』は再放送を観て育った世代。それでも大のウルトラマン好きで、家には怪獣フィギュアがたくさんあるそうだ。そんなフィギュアをときどき並べ替えては楽しんでいるというマクラが微笑ましい。バルタン星人などの二足歩行のフィギュアは安定が悪くて棚から落ちやすいなんて指摘もリアル。ほとんどの持ち時間をウルトラマンが話題のマクラに費やし、最後にウルトラマン・フェスティバルにやってきた落語家の噺。 アサダ二世のマジック。いつもの通り、小さなマジックをやったあと、カード当て。「あまり大がかりなものより、寄席のマジックはカード当てくらいがちょうどいいんです」という言葉には納得。 古今亭志ん輔は『稽古屋』。小朝などがやっている、お師匠さんがちいさな女の子に踊りの稽古をつけるものではなく、昔からのやつ。 林家しん平は漫談。自分で特撮映画を作ったりする人だから、今日はそんな話かなぁと思っていたら、毎日内容を変えているようで、今日は、ポケモンGO(5日で飽きるぞ〜)、都知事選(ろくな候補がいね〜)、ライザップ(あのCMに騙されるな〜)。 笑組の漫才。しん平の後を受けて、しん平の映画に出た時の話から、相方が仕事の現場に来なかった話。 柳家三三は『元犬』。これで私が聴いたのは三回目かな。今、一番面白い『元犬』を演るのは三三だと思う。 桃月庵白酒の『風呂敷』は、風呂敷を使って男を押入れから出してあげる男がやけに可笑しい。次々とことわざを口にするのだが、解釈がいちいち間違っている。最後に「し」が付くのはすべて強調の「し」だとか、言い出す。こんな人に、よく男が助けられたものだ。 仲入り後は翁家社中の太神楽から。和助の土瓶は初めて見た。若いだけあってダイナミック。 今日の落語は、いろいろいじった笑いのものが多かったが、ここで春風亭一朝。オーソドックスに喋って、それでいて笑いがとれる『たいこ腹』。 紙切り。二楽、楽一が交互に出ていたようだが、今日は林家正楽。二楽や楽一ならウルトラマン関係のお題が出てもお手の物だろうが、正楽ともなると無理がありそうだと思っていたら、客席から「ウルトラ喬タロウ」、「ウルトラマン」の注文。お囃子もウルトラシリーズ。「私はこういう曲知らないんです」と言いながら、「ウルトラ喬タロウ」は巨大化した喬太郎が街を歩いているところ。「ウルトラマン」はウルトラマンとバルタン星人が戦っているところ。すげー、切っちゃうんだ。 五席持っているという柳家喬太郎の、今日の円谷プロがらみの新作落語は『抜けガヴァドン』。私はこれしか聴いたことがなかったから他のが聴きたかったのだが、やはりこれ、ものすごく可笑しい。無銭宿泊されて、土管にいたずら描きされて、しかもそのいたずら描きが怪獣になって暴れまわる。迷惑以外の何ものでもないのに、父子の絵描きが、問題をさらに大きくしてしまい、いささかも悪びれてないという展開には腹を抱えて笑うしかないものね。 7月28日記 静かなお喋り 7月27日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |