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客席放浪記

鈴本演芸場二月中席夜の部

2017年2月11日

 開口一番、前座さんは柳家寿伴『たぬ札』。前座修業頑張ってね。

 古今亭駒次は得意の鉄道新作落語かなと思っていたら『生徒の作文』。でも読み上げる作文四つのうち、二つは地下鉄と京成線に関する作文。京成線は上野の鈴本演芸場に来るのに利用者が多いせいか大受け。

 三増紋之助の曲独楽。今日は珍しく五つ独楽をやっっていた。チマチマした芸で派手さはないのだけど、ユーモラスで私は好き。

 「電車に乗っていたら、看板を見ていた女性ふたりの会話が聞えてきました。『自動車のドローンって何かしら』って言ってるんですが、これは言葉の切り方が悪かった。なんて書いてあったかというと、カード・ローン」。春風亭正朝『蔵前駕籠』

 隅田川馬石『鮑のし』。「尾頭付きが欲しいんだけど」 「これなんかどうだい? てえだよ」 「手ぇ?」 「たいだよ」 「なかにあんこ入ってる?」

 ホンキートンクの漫才。マッチとトシちゃんネタ。

 柳家はん治『妻の旅行』。文枝ネタのなかでも、これが一番、東京の寄席で受けがよさそう。いわゆる、あるあるネタでもあるからね。

 桃月庵白酒『だくだく』。突然起き上がった住民を見た泥棒、「えっ! お前、絵じゃないの?」

 柳家小菊の粋曲。「この雪に よく来たものだ 互いに募る思いを さしてみる」 都々逸が終わると拍手がきた。今日のお客さんは、いいお客さんだ。

 もっと浅いところででるはずだった柳家燕路がこの位置。「プログラムと見比べないでください。私たちはそれをプログラムではなく、参考資料と言っています」。ネタは『たいこ腹』

 林家正楽の紙切り。「正楽師匠」、「幼稚園の入園式」、「セキセイインコ」。

 トリは五街道雲助。この十日間、最初の方は冬の噺ということで、今日は『二番煎じ』。私はこの雲助の『二番煎じ』が一番面白くできているんじゃないかと思う。なんといっても夜回りに出る人々のひとりひとりが個性的で、描き分けがしっかりしているのがいい。ししの肉一切れ食べたら次の人に箸を渡すというのが暗黙のルールになっているのも、なかにネギばかり食べているようにみせかけて、実は肉も取っている人がいたりというのに繋がるという巧さ。そして夜回りを二班に分けるのではなく、日替わりというのも、侍との絡みで面白さが出る。

 しかし『二番煎じ』を聴くたびに、しし鍋が食べたくなるんだよなぁ。近いうちに[ももんじや]に行って来よう。

2月13日記

静かなお喋り 2月11日

静かなお喋り

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