直線上に配置

客席放浪記

三遊亭白鳥・柳家喬太郎二人会

2018年3月5日
イイノホール

 去年もここでやったこの組み合わせの二人会。どうやらこれから先も毎年一回恒例になりそう。ありそうでなかった組み合わせの二人会なので楽しみだ。
 オープニングトークは、2月の虹色寄席の話から、昨日ふたりが地方でやってきた仕事の話。虹色寄席は白鳥がギャラをピンハネするという話題ですっかり有名になってしまったけれど、白鳥がまったく悪びれてないのが可笑しい。

 三遊亭白鳥の一席目は、師匠円丈の『ランゴランゴ』を基にして改良を加えた『新ランゴランゴ』。円丈版よりも聴きやすくなっている気がする。アフリカ人の落語家という発想は円丈だからこそ生まれたものだろう。とんでもないことを思いつくのは師匠円丈方が上かもしれない。ただ白鳥は噺の構成力がある人だと感じる。

 マクラもなく、スッと『心眼』に入った柳家喬太郎。白鳥との二人会だと一席はキチッとした落語をやらないとという思いなのだろう。
 梅喜が茅場町の薬師様に通って満願の日、いつもより多めに賽銭を出し、さらに足袋のなかに入れておいた金まで出すところ。芸が細かい。
 また梅喜が小春とふたりだけになるところの小春の色っぽさ。どうして喬太郎が演じる女ってこんなにエロチックになれるんだろう。

 喬太郎の二席目もマクラなしでスッと。典型的なきれいな古典落語口調でご隠居さんのところへ八五郎がやってくるところから始まる。掛け軸の話になるから『道灌』か『一目上がり』と思ったら、突然掛け軸に描かれたウルトラマンジャックなんてのが現れる。ここでそれまで真面目に古典を喋る口調だったのが一変し、楽しそうに『つる』を下敷きにした『ウルトラのつる』。喬太郎が大好きなウルトラマンの蘊蓄を語りまくる一席。やはり弾けた喬太郎はいいな〜。

 トリの白鳥は、暮の『ヨチヨチSWAN』で初めてかけていた『秘密の花園』。ちょっとやばいネタなのだが、年が変わってさらに状況が微妙になってきてしまったので、ますますやばくなってきてしまった。「これがこのネタをやる最後かもしれません」と言って始まった。暮に聴いたときは50分くらいあったが10分以上縮めた感じ。本筋に入るまで以前はもっと引っ張っていて、「そういう噺なんだ」とわかったときはびっくりした。
 しかしこういうやばいの、これだけ大きいホールで、よくかけるよな〜。

3月6日記

静かなお喋り 3月5日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置