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客席放浪記

東京03寄席

2018年4月29日
草月ホール

 タイトルは、さらば青春の光の『ヒーロー』以外は正式なタイトルはわからず、私が勝手に付けたもの。

『ペンション殺人事件』 ゾフィー
『音楽学校のライバル』 ジェラートン
『退社』 マツモトクラブ
『浮気調査』 ラバーガール
『睡眠薬』 ライス
『ヒーロー』 さらば青春の光
『自慢話』 東京03

 東京03の飯塚が「今観たいコント芸人を集めて行っている会。お笑い芸人でコントをやっている人たちの中では今、東京03が一番動員力が大きいんじゃないかと思う。しかも飯塚はほかの人たちのコントを観るのが好き。今のコントの最前線にいると言っていいと思う。だから彼の選ぶコント芸人はハズレがない。必ず面白い人たちを連れて来る。コントに対する目が一番確か。もうこの際、東京03は『キングオブコント』には出ないみたいだし、審査員として『キングオブコント』に参加してもらったらどうだろう。今の審査員、バナナマンやサマーズや松本人志は人選ミスだと思う。

 ゾフィーとジェラートンは初めて観た。
 ゾフィーのは犯人と刑事と見せかけて、犯人とベンションのオーナーという意外な方向性が可笑しい。

 ジェラートンはライバル同士が肩越しに短い会話をするというパターンだけで持って行った。このアイデアはいい。

 マツモトクラブも安定の「あるある」というネタ。先日、NHKの『コンとコトン』で、『サラリーマンNEO』のコントを流していたが、そのなかの生瀬勝久がやったコントと似たアイデア。大きな演技をする生瀬とは逆に表情を押さえた芝居が可笑しさを増す。

 ラバーガールは元は一分のネタだったものを長くしたそうだ。混乱が深くなっていくのが彼ららしい。

 ライスはマフィアものだが、こんな展開になるとは思わなかった。睡眠薬を飲まされた男が、奇妙な寝相だったり、寝言を言ったり、しかも夢遊病というのには爆笑。

 しかし、やはりさらば青春の光の『ヒーロー』は、ここまでの5組のネタを吹き飛ばしてしまう。先日の単独ライブ『真っ二つ』でも披露していたネタで、東京03に観てもらいたくて作ったものだそうだ。これも10分以上あるネタだから『キングオブコント』に出すには大幅に短くしなければならない。「原因は寝たばこ」、「失火罪と重失火罪」、「スプリンクラー」といったいくつかのキーワードを使った繰り返しだから、短くしようと思えば切れるのだが、おそらく短くしてしまうとこの面白さは半減してしまうだろう。『居酒屋』のネタでもそうだったが、さらば青春の光の可笑しさは、不思議とこの長さが必要になる。これで私もこの『ヒーロー』わ2回観たことになるがねもう一度観たいもの。

 いつものようにトリに東京03。コントが始まって「卓球部の部室が火の不始末で燃えちゃってさ」と言ったところで客席から笑いが起こった。落語会では、よく前の人の噺を拾って笑いにするが、コントの場合は被ってしまうと難しいらしい。一度止めて、別のコントに変えていた。あの『ヒーロー』の熱演じゃ、あとからの被ったネタは、やはり不利だと思ったに違いない。そこですぐにネタを変えられる東京03も凄いが。

4月29日記

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