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客席放浪記

第648回東京落語会

2013年6月14日
ニッショーホール

 開口一番前座さんは古今亭半輔『道具屋』。前座修業頑張ってね。

 「運動選手にメンタルトレーナーというのがついていて、励ましてくれる事があるそうですが、落語家にもつかないですかね。私がこうして話している横で『大丈夫ですよ。あなたは悪くないですよ。私にはあなたの面白さが十分伝わってますから。今日はお客さんのレベルが低いんです』って」 古今亭文菊は、そんなメンタルトレーナー的な気の使い方をしなければならなくなった噺『猿後家』

 「小笠原へ行って来ました。海亀の卵の煮つけに、海亀の刺身、食べてきました。思わず携帯で刺身の写真撮って友人に送ったりして。カメのシャメ」 マクラとは関係なく古今亭菊志ん『へっつい幽霊』へ。

 「江戸時代に生類憐みの令というのがありまして、腕にとまった蚊を叩いただけで百叩きの刑。こっちは一回しか叩いてないのに」 桂才賀は「奈良は早起きで、一番最初にNHKのラジオ体操が始まったところ」と『鹿政談』へ。

 高座に出て来るなり溜息をつき「85になっちゃいましたよ」と三遊亭歌司。そのあと「ウエストがね」と続く。「先代の小さん師匠がね、90歳の市川歌右衛門先生に、『私は毎日2時間歩いてます』と言われて、浴衣で下駄履いて目黒から坂下って行っちゃって、心配してたら帰りは上りだからタクシー」 私も歩かなきゃ。ネタは健康にはよくなさそうな『酢豆腐』

 仲入り後は柳家花録。レギュラーで出演している『なんでも鑑定団』の事をマクラに『火焔太鼓』。今日は『道具屋』、『へっつい幽霊』とエタがつく感じだが、それを逆手にとって、前のふたつを取り込んでの自由な感じの『火焔太鼓』。太鼓を叩くリズムもロックだよ。

 トリは春風亭小柳枝『百川』。「江戸っ子は皐月の鯉の吹き流し 口先だけではらわたはなし と言いますが、塩辛はできなかった。初鰹は着ているものを質に入れても食べたなんて事も言いますな。『初鰹どうだったい?』『寒かった』」 ここから『百川』の世界に入っていく。この自然に流れるように噺の世界に入っていくのが小柳枝の気持ちがいいところ。30分間、落語の世界に酔った。NHKが収録しているから、いずれ放送されるのだろう。そしたらまた観ちゃうだろうなぁ。

6月16日記

静かなお喋り 6月14日

静かなお喋り

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