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客席放浪記

トンデモ落語の会(第74回)

2014年9月27日
浅草・木馬亭

 現在、快楽亭ブラック、三遊亭白鳥、瀧川鯉朝、立川談之助、鈴々舎馬るこの五人でやっている会。たまに誰かが抜けるときがある。今回は鯉朝が末廣亭のトリなので欠席。談之助が「おれたち立川流は、寄席のトリなんてない! しかも末廣亭には出たくても出られないの!」と叫ぶ叫ぶ。アハハハハ。鯉朝の場合、寄席のトリを取るとなると、どっぷりとプログラム全体にかかわることになるから、抜けられないんだよね。それで、その抜けた分、誰か代役が出るとか、誰かが長い噺をやるとかではなくて、四人とも持ち時間だけやってお開き。終演時間が早くなる分、ウチアゲもたっぷりできるのがうれしそうにしている。このなんともテキトーさ加減、この人たちなら許せるなと思えてくる。

 明治期の初代快楽亭ブラックは、『岩手銀行血汐の手形』などの、翻案もの推理小説ネタがあったらしい。そこで当代の快楽亭ブラックもミステリ落語をとの趣向。マクラで、横溝正史の金田一耕助は何回も映画化されていて、戦後すぐに片岡千恵蔵でシリーズ化されていたとのことを喋っていた。それで、この片岡千恵蔵の声色で金田一耕助をやるミステリ落語。始まってみれば、なんと古典落語の『短命』。たしかにそれは連続殺人事件。死因は下世話な理由なのに、片岡千恵蔵の金田一耕助は、無理矢理に推理を続ける。だから、死因はわかってるっていうのに。ハハハハハ。

 鈴々舎馬るこ『蝦蟇の油』なのだが、こういう会だから、もちろんまともにはやるわけない。蝦蟇の油売りが韓国人。韓国語で、例の蝦蟇の油の口上をやる。それがちゃんと韓国語になっている。デタラメの韓国語で笑いを取りに来るような底の浅い芸ではないところが凄い。

 三遊亭白鳥は、全十席からなる豚次シリーズから『任侠流れの豚次・天王寺代官斬り』。もちろんトンデモの会だから、危ないギャグをところどころで盛る。同じ噺をどういうようにでも変えられる懐の深さを感じるなぁ。

 立川談之助は、ブラック企業ランキングの話をしていたら、突然『入ってはいけないブラック企業ワースト3』というのを始めた。これ、談之助のことだから、もちろん落語関係のお話。この団体、一門がいかにブラックなのかを語る。もちろん具体的な内容はインターネットには書けませ〜ん。アハハハハ。

9月28日記

静かなお喋り 9月27日

静かなお喋り

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