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客席放浪記

第76回トンデモ落語の会

2015年5月16日
お江戸日本橋亭

 開演時間が、13時としてある告知と、13時30分としてある告知があり、どちらが正しいのかわからない。どちらにしても開場は30分前。13時開演である場合を想定して早めに出かける。

 お江戸日本橋亭に着いたら、受付を出演者のひとり鯉朝さんがやっていた。スタッフもまだ集まってないのかしら? 席について渡されたチラシなどを見ていたら、鯉朝さんが幕前に座って、開演時間の告知が二種類出てしまっていることのお詫びをして、開演時間は真ん中を取って13時15分にすることになったと説明。早く来てしまったお客さんのためだろう、「ひとりごとですから」と、落語芸術協会に入った立川談幸一門の話などをボソホソと話し始めた。こういう内輪話をウチアゲの席でもないのに聴けてしまうのは、ちょっぴり得した気分。でも鯉朝さん、どことなく今日は元気ないね。

 13時15分に急遽、前座が上がることになった。快楽亭ブラ坊。こんな会だからキッチリした古典落語をやるわけにもいかずということで始まったのが、居酒屋に入ったら、そこがオウム真理教の信者が経営する居酒屋で、危うくポアされそうになるという噺。ポアなんて懐かしい用語を久し振りに聴いた。もういまや20年も前のことになるんだよな〜。

 鈴々舎馬るこは『代書屋』の改作。どう考えてもどこにも就職できそうにない男が履歴書を書いてくれと代書屋へやってくる。履歴書さえ提出すれば就職できるという、その働き先とは・・・。

 『東京落語会』という催しが毎月ある。これはNHKの『日本の話芸』の収録。私も一度だけ観に行った事があるが、ほかの落語会とは雰囲気が違う。客層はガチガチの古典落語ファンがほとんどで、ちょっとでも古典に変わったアレンジを加えることは許さないといったムードが漂っている会だ。最前列にNHKのADが座っていて、カンペで出演者に残り時間などの指示を出している様子を見ることが出来る。一度の会でだいたい2〜3本が放送用に使われるのだが、収録は6本くらいあり、出来さえよければ予定していたもの以外でも放送のチャンスがあるそうだ。三遊亭白鳥は今までにも何回かこの落語会に出たことがあるそうで、NHKだからということで固有名詞などは出さないように自作を作り変えてやったが、一度もオンエアされたことは無かったという。この前日も『アジアそば』で『東京落語会』の収録にのぞんだそうだが、もうオンエアは諦めて、固有名詞は出すは言っちゃいけないことも言ってしまうはという、やりたい放題のことをやってきたらしい。それを見たADさんの慌てぶりなどを、多少オーバーに盛ったドキュメントが今日の噺。白鳥、最近は『虹色落語会』の話といい、ドキュメント落語という方向を見つけたようだ。

 快楽亭ブラックは最近、大阪環状線の駅も発車メロディーを始めたという話題がマクラ。通天閣近くの新今宮だっら当然『王将』だろうと思ったら、ドヴォルザークの『新世界から』で、確かに新世界があるところだけど、こんなにこの土地に似合わない曲も無いというブラックの意見には、ついついニヤリ。ネタは『寄生獣』を基にしたもの。右手に右寄りのあるものが寄生したらというお話。

 仲入り後に上がったのが瀧川鯉朝。トリの談之助がまだ楽屋に到着していないということで長いマクラ。自分は孤独死するのではないだろうかと暗い不安を語ったり。どうしたの鯉朝さん、今日は元気ないね。そこから落ち込んだ男が体験する、改作『のっぺらぼう』。「えっ! これがサゲなの?」という感じのサゲだったが、ほんわかと終わらせたかったみたい。今日の鯉朝、何があったんだろう。

 一方でトリの立川談之助は元気だね。最近ではネトウヨなんていうのが増えたけど、談之助はネオ右翼宣言の一席。どこまで本気なのかわかんないのがこの人。だって今日遅れてきたのは共産党の仕事が前に入ってたんだもの。

5月18日記

静かなお喋り 5月16日

静かなお喋り

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